【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市とどろきアリーナ(中原区)で8月末に、イスラエル企業によるテロ対策見本市が開かれた問題で、「川崎での軍事エキスポに反対する会」は12日、これまでの運動を振り返る報告集会を市教育文化会館(川崎区)で開いた。市が掲げる平和の理念に反するとして、会場の使用許可取り消しを求めた運動を通じて浮かび上がった課題を論じ合った。
大阪経済法科大の客員研究員で非政府組織(NGO)「パレスチナの平和を考える会」の役重善洋さんが講演。イスラエルが進めるイメージ戦略に言及し「『紛争』という負の印象を打ち消すため『ハイテク』などといいイメージの情報を発信する。同時に軍事とイノベーション力をリンクさせる。イノベーションが優れた軍事技術に起因し、イスラエル人の愛国心、団結心に支えられていると強調している」と指摘。軍事見本市を日本国内で開催するにあたり、ハードルを下げた一因として、こうした国家戦略があったと説明した。
国際法違反の占領とパレスチナ人弾圧を続けるイスラエルとの関係強化を進める安倍政権の政策も問題視。「ホロコースト(ユダヤ人虐殺)の反省に立ち第2次大戦後の国際秩序はつくられた。イスラエルは自らそれを破壊しようとしているが、安倍政権は協力をやめようとしてない」と非難し、追随する国内の経済界などの姿勢も批判した。