多摩川の自然を生かす活動に取り組む川崎市のNPO法人「多摩川エコミュージアム」は11月、インドネシアのジャカルタを流れる都市河川チリウン川の浄化を目指す市民団体メンバーを招いて交流会議を開く。流域の市民運動で、汚染された多摩川をよみがえらせた経験を伝え、チリウン川でも清流復活に向けて市民同士が協力できる方策を探る。
活動拠点の同市多摩区宿河原の二ケ領せせらぎ館周辺で一緒にごみ拾いをしながら、川崎のNPOスタッフとジャカルタから来日する市民団体メンバーが都市河川共通の悩みについて意見交換する。
チリウン川は全長約120キロで、山岳地帯からジャカルタ湾に注ぐ。市街地の生活排水の流入で汚染や悪臭が深刻となり、地元ボランティアが浄化を目指して活動している。
今回は活動の中心的グループ「Clean Ciliwung Movement」のメンバーら約10人が来日。11月9~12日の3泊4日の日程で、多摩川の上流域から河口までを巡る。
住民が一斉清掃を行うことから名付けられた11月11日の「チリウン川の日」には、多摩川河川敷でごみ拾いを行った後、せせらぎ館で交流会議を開く。会議では、チリウン川清流化に向けて多摩川エコミュージアム側にどんな活動を期待するのかなどの要望を聞いた上で、具体的な支援策を議論する。多摩川浄化の象徴として大量遡上(そじょう)しているアユも試食してもらう。
ジャカルタの邦人向け新聞「じゃかるた新聞」元編集長として、市民の清掃活動に関わった臼井研一さん(68)ら現地の邦人が、清流復活に向け活動する川崎とインドネシアの両団体を橋渡しした。
臼井さんは「清流化のお手伝いをしたい。市民運動が行政を動かし、下水処理施設整備につなげることが大切。花火やいかだレースなど川の楽しみ方も伝えたい」と期待する。
チリウン川を訪れた経験がある多摩川エコミュージアム副代表理事の五十嵐豊さん(72)は「きれいな川を望む思いを共有し、できることを探りたい」と話している。
来日メンバーの渡航費は国際交流基金の友好親善事業助成金で賄う。多摩川エコミュージアムは日本での滞在費を支援する1口千円の募金を呼び掛ける。問い合わせは五十嵐さん電話044(900)8386。