昨年10月の台風19号による土砂崩れなどの影響で一部区間で運休が続く箱根登山鉄道で、7月下旬の運転再開に向けた復旧作業が進んでいる。同社は2日、土砂で線路の一部が埋まる被害があった大平台駅─宮ノ下駅間の「大沢橋りょう」を報道陣に公開した。
大沢橋りょうは、近くを流れる「大沢」に架かる長さ12・8メートルの橋。台風19号の記録的大雨で大沢は長さ500メートル以上にわたり崩れ、同橋りょうや付近のトンネルで線路が、土砂や石に埋まった。土砂を撤去したところ、予想より橋りょうや線路への被害が少なかったため、復旧作業を順調に進めることができたという。
同日までに作業がほぼ完了したことから、これまで箱根湯本駅─大平台駅間としていた試運転区間を、同日から宮ノ下駅近くまで延長。社員や作業員らに見守られ、赤い車体がゆっくりと斜面を上っていった。
現在、崖崩れで線路や橋桁が流出した「蛇骨陸橋」と、雨水による線路下の地面の浸食が激しい「小涌谷踏切」などで復旧作業が続く。7月下旬としている再開時期の詳細については、全体の作業完了のめどが立ち次第、公表したいとしている。
同社は「新型コロナウイルス感染症の影響で社会的に困難な状況だが、落ち着いてきたら万全の態勢で皆様をお迎えしたい」としている。