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〈時代の正体〉朝鮮学校に希望の灯ともす音楽劇 卒業生、地元・川崎で公演

社会 | 神奈川新聞 | 2018年10月3日(水) 02:00

地元での舞台に立つ金莎倻さん(前列右)=9月29日、川崎市川崎区のカルッツかわさき
地元での舞台に立つ金莎倻さん(前列右)=9月29日、川崎市川崎区のカルッツかわさき

【時代の正体取材班=石橋 学】身分制度に裂かれた愛を貫くいちずな姿に南北統一という民族の悲願が重なった。在日朝鮮人アーティストでつくる金剛山歌劇団による舞踊ミュージカル「春香伝」。多くの在日同胞が暮らす川崎市川崎区で行われた9月29日の公演に、特別な思いで立つ舞踊師がいた。金(キム)莎倻(サヤ)さん(22)。生まれ育ったふるさとで伝えたいメッセージがあった。

 クライマックス。スクリーンに映し出された金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と文在寅(ムンジェイン)韓国大統領が手を取り合う。18世紀の李氏朝鮮に伝わる芸妓(げいぎ)と特権階級の禁じられた恋愛物語、その大団円が「いま」とシンクロした。共感の喝采が湧き起こる観客席をステージの金さんが見渡す。朝鮮学校の恩師と友人、後輩たちの姿があった。

 川崎朝鮮初級学校、神奈川朝鮮中高級学校に民族の言葉や文化、歴史を学んだ。入団4年目。公演で全国を飛び回るが、地元の舞台は初めてだった。「感謝の気持ちを伝えられてうれしかった。自分を育ててくれた学校のために踊り、後輩たちに夢や希望を与えたかった」。県内に5校ある朝鮮学校のチャリティーを銘打ち、入場料の一部が寄付された。

 いま、政府、自治体による排除政策を背景に、朝鮮学校に通う子どもたちは減り続ける。高校無償化制度から唯一除外され、県や横浜市の補助金も打ち切られ、経済的負担が学校運営、保護者にのしかかる。日本に生まれ育った在日コリアン、ましてや子どもたちとは無関係の拉致問題が持ち出され、学ぶという最も大切な権利を等しく認めない理不尽な差別がまかり通る。

 「私が学生の頃から訴えてきた問題がまだ解決せず、後輩たちが同じ思いをしている。それが悲しい

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