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時代の正体〈634〉「抑止力」という幻想 沖縄県知事選を問う(下)元内閣官房副長官補・柳沢協二さん

社会 | 神奈川新聞 | 2018年9月26日(水) 14:18

柳沢協二さん
柳沢協二さん

【時代の正体取材班=田崎 基】沖縄の基地問題を調査・研究してきた「新外交イニシアティブ」(ND)が沖縄県知事選(13日告示、30日投開票)に合わせ、「沖縄と米軍基地-県知事選で問われるべきは何か-」と題するシンポジウムを開催した。辺野古新基地問題を巡る今後の展開や解決策が見いだせない沖縄の現状、日米地位協定、米軍基地が地域にもたらす汚染などが語られた。元防衛官僚の柳沢協二さんは、「抑止力」論の意味について語った。

 沖縄県知事の翁長雄志さんが亡くなるその前に沖縄に行った。私は東京に住み、これまで長い間、防衛官僚を勤めてきて一体自分がこの沖縄の問題にどのように関わっていくかと考える。私にはっきりと言える答えは今はない。

 ただ、どうすれば多くの人がこの問題を考え、動くのか。そこが一番大事なのだろう。簡単ではない。

 今年の夏、長崎原爆の日に安倍首相が長崎を訪問し、被爆者の方から「日本はなぜ核兵器禁止条約について話をしないのか」と問われ、首相はこう答えた。

 いろんな考え方の国があるから、日本はその橋渡しをする必要がある、と。

 一体これはなんなんだ。

 被爆者の方がどんなに望んでもまともに答えられない。

 この構図は、沖縄がどんなに意思を表明しても政府が答えられないという構図と、極めて似ていると感じる。

「抑止力」のうそ


 日本政府はかつて、核兵器禁止条約に反対した。オバマ大統領が当時、核兵器の先制不使用を宣言しようとしたときには反対し、つぶしに動いた。なぜか。

 米国の核の傘に依存しなければ、戦争も防げない、日本の安全を守れないと思っているからだろう。米国の核を含む抑止力がないと背中が寒くて仕方ないという感覚だ。

 しかし、この「抑止力」とは一体なんだろうか。

 脅威というのは、日本を攻撃する「能力」を持った相手が、日本を攻撃する「意思」があるから、それが日本にとって脅威になる。

 ミサイル攻撃の能力を相手国が有しているとき、どうすれば脅威をなくすことができるか。撃とうとする意思をなくすしかない。

 ではなぜ撃とうとするか。それは例えば、北朝鮮にとって一番恐れている米軍が日本に駐留しているからだろう。

 この論理がなぜ通用しないのか。脅威だけでなく、抑止についても同じことが言える。


柳沢協二さん
柳沢協二さん

 戦争を仕掛けたら、より強い力で反撃される、それでもいいならやってみろ、というのが抑止の概念だ。

 米国は既に膨大な核と軍隊を持ち、いまも世界最強の軍事大国だ。つまり米国に「能力」はある。だが核を使用する「意思」はあるだろうか。

 例えば、人も住んでいないような日本の離島を守るために、米兵の血を流す覚悟が米国にあるだろうか。

 抑止力というのは「反撃してくる」と相手国が信じなければ機能しない。

 ここに疑いがある。

 だとすれば、なぜ日本はこの不確かな「抑止力」に依存するのだろうか。

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