米海軍のヘリコプターが厚木基地(大和、綾瀬市)内で窓を落下させる事故が発生してから27日で2カ月を迎える。国や基地周辺自治体が米軍に原因究明や再発防止を申し入れたが、これまでに詳細な説明がなく、原因も明らかになっていない。基地周辺市の議会では、情報量の少なさに対する不満や疑問のほか、さらなる原因究明を求める声が相次いでいる。
「窓の寸法、重さは示されていません」。5日に開かれた大和市議会基地対策特別委員会。市幹部は答弁で、米側からの十分な情報提供がない状況を繰り返し説明し、理解を求めた。
事故は7月27日午前11時50分ごろに発生。日本国外を拠点とする米海軍の大型ヘリMH53Eが同基地を離陸した際、2~3メートルの高さから窓と窓枠が落下した。
5日の同委員会では、事故に対する質問が集中。小田博士氏(自民・新政クラブ)は窓の寸法や重さが示されていない点に「落ちた窓の大きさは掌握しているはず。情報公開に不備があるのではないか」と指摘。山崎佐由紀氏(神奈川ネット)は「窓の落下は普通では考えられない。ねじ1本でも頭に落ちたら死んでしまう」とその重大性を強調した。
座間市議会では10日、守谷浩一氏(共産)が本会議の一般質問で取り上げた。米陸軍キャンプ座間所属のヘリコプターが2016年2月、アクリル製の窓を落とした事故を踏まえ、「再発防止策がもっとしっかりされるべきだった。原因、再発防止策をしっかり求めるべきだ」と主張。19日の綾瀬市議会基地対策特別委員会でも議員から事故に関する質問が出された。
米軍機の部品落下・紛失を巡っては昨年12月、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のCH53E大型輸送ヘリが、同基地に隣接する小学校の校庭に重さ7・7キロの窓を落下させる事故が発生。同校は校庭の使用を一定期間見合わせた。
今年7月の事故現場は厚木基地内だが、周囲は住宅密集地で学校が点在する。
18日に大和市議会で一般質問に立った高久良美氏(共産)は「基地を抱える大和市民は恐怖に脅かされている」と訴えた。
事故について防衛省南関東防衛局は神奈川新聞社の取材に「新たな情報には接していない」と説明している。