県立がんセンター(横浜市旭区)は、がん患者の遺伝子を調べて最適な薬や治療法を選ぶ「ゲノム医療」を拡充する。今月から全国に先駆けて遺伝子パネル検査を開始。専門人材の確保、育成などの体制整備も進め、黒岩祐治知事は「県民の命を守るとりでとして、がんゲノム医療をけん引していけるよう支援していく」と述べた。
同センターでは、ゲノム医療をがん医療の柱と位置付け、がん組織を収集するバイオバンクの設置や遺伝カウンセラーの配置などの整備を進めてきた。3月には厚生労働省からがんゲノム医療連携病院に指定された。国立がん研究センターと連携して、最先端のゲノム検査に基づく医療の提供が可能になっている。
同センターを所管する県立病院課によると、従来は特定の遺伝子のみ検査が可能だったが、パネル検査の開始により一度に110以上の遺伝子変異を調べることができ、遺伝子レベルで有効な治療薬の投与が行えるようになったという。
また、黒岩知事は高度なゲノム解析が行える基盤の整備や、解析結果を治療や臨床研究につなげる専門人材の育成に向け、専門職による連携を強化したと強調。その一方「ゲノム医療について県民に正確な内容や効果などが十分に知られていない」と指摘し、情報提供や相談対応を一元的に行う窓口を設置する意向を示した。
19日の県議会本会議で鈴木秀志氏(公明党)の一般質問に答えた。