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若い苦悩に向き合って 県警少年相談・保護センター20年

社会 | 神奈川新聞 | 2018年9月17日(月) 19:00

神奈川県警
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 県警少年相談・保護センターが今年、発足から20年を迎えた。相談員は現在、22人。年間4千件程度の非行問題や犯罪被害に関する相談に向き合い、その立ち直りを支援している。補導よりも相談活動や規範意識の向上に主眼を置いており、同センターの樋渡弥子所長は「相談内容の複雑化に伴い、専門知識が必要なケースが増えている。相談員のスキルアップとともに関係機関との連携を密にして、多様な事案に対応していきたい」と話している。

原点は婦人補導員5人


 県警によると、同センターの原点となる活動は1963年に採用した5人の婦人補導員から始まった。当初は少年補導をメインに活動。相談員は79年までに22人に増員された。98年4月に相談業務や啓発活動に重きを置く同センターが発足した。

 現在は県内8カ所(横浜第一、同第二、川崎、横須賀、湘南、県西、県央、相模原)の各方面事務所のほか、電話やファクスなどで20歳未満の少年・少女、保護者らから相談を受ける。各署と連携して非行防止教室なども開催している。

 ここ5年間の相談件数は年間約3900~4600件で推移。昨年の相談件数4364件のうち、最も多かったのは暴力や不良交友など「非行問題」で約46%を占めた。児童虐待などの「犯罪被害」が約19%、家庭内暴力などの「家庭問題」が約13%で続いた。

相談内容は複雑化


 核家族化や地域社会とのつながりの希薄化に加え、会員制交流サイト(SNS)などの普及で、相談内容が複雑化。これに伴い、関わりの長期化や相談を受ける側の専門性の強化などが課題になっている。相談員歴17年の河合純子さん(42)は「いかに人との関わりの中で傷ついている相談者を立ち直らせていくかが鍵。継続して相談に乗る中で、本人との関係構築にとどまらず、周囲の大人との『橋渡し』の役割を果たしたい」と話す。

 河合さんは豊富な相談事例の中から、地道に信頼関係を築き、時間をかけて寄り添うことの大切さを実感する。約4年前に担当した当時中学2年の女子生徒は、母親の再婚やそれに伴う引っ越しなどで家庭内不和が生じて、家出。不良少年と交遊するようになり、やがて不登校になった。河合さんは2週間に1度のペースで相談に乗り、約1年間サポート。女子生徒はその後、自発的に教諭らに学校で学びたいとの意思を伝え、現在は働きながら定時制高校に通っているという。

 河合さんは「当初は大人への不信感が強かった」と振り返りつつ、「困ったときに周囲に助けを求められるよう、女子生徒の心を解きほぐせたのであればうれしい」と話す。樋渡所長は「相談者に寄り添い指導していく中で、社会での居場所や保護者との良好な関係づくりに向けた手助けをしていきたい」と今後を見据える。

 
 

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