横浜・川崎 1カ月で5倍増
新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、通所や短期入所のサービスを休止する障害者施設が大幅に増えていることが24日、県内自治体の調査で明らかになった。横浜、川崎市では、この1カ月で休止したケースが前月の約5倍に増加。感染リスクへの不安から自粛する動きが広がっており、関係者は「福祉が成り立たなくなる」と危機的状況の長期化を不安視する。
調査は通所や短期入所のサービスを提供する事業所を対象に実施。1事業所が「通所」と「短期入所」のサービスをいずれも休止した場合は「2」とし、各自治体がまとめた。
最新の調査結果(5月11~17日)によると、横浜は58、川崎は36に上り、いずれも緊急事態宣言発令直後の4月中旬に比べ約5倍に膨らんだ。
川崎市の担当者は「利用者が通所を自粛する流れを受け、サービスを休止した事業所が増加した」との見方を示す。
一方、相模原(5)と横須賀(6)は大きな変動がなく、ほかの自治体は5月10日までの1週間(29)から計19に減少した。
休止理由は、利用者や職員の感染防止目的で休止を決断したケースが多くを占めた。国などから事業者に支払われる報酬は利用人数に応じるため、厚生労働省は特例措置として在宅利用者への電話や訪問なども対象に追加。加算用件を緩和することで、代替サービスの実施を促している。
ただ、調査は各事業者の自己申告としており、自治体担当者は「実際には休止しているが調査に盛り込めていないケースもある」とみている。
「通所・短期入所」を対象とした調査は全国の各自治体でも実施しており、同省によると4月19日時点の休止は35都道府県で891事業所に上っていた。
肩寄せ合う場、間隔空けて
苦渋の決断で休止も
「大変な状況だからこそ、利用者と家族の支えになりたい」。サービスを休止する障害者施設が増加する中、利用者を受け入れ続けている安斎和行所長(51)は打ち明ける。
横浜市港北区の障害者地域活動ホーム「ともだちの丘」。職員が利用者の手を取り、1歩ずつ導くように他の利用者から遠ざける。いつもは肩を寄せ合って楽しむお茶の時間も一人ずつ間隔を空ける。