在日米軍基地での新型コロナウイルス感染者が非公表となっている問題は、米側が情報を出さないという単純な構図ではない。同盟国間の安全保障上の観点から公表を控える政府方針への受け止めには、基地を抱える各自治体で温度差があり、専門家でも見方が分かれる。
在日米軍感染情報、続く非公表 日本政府把握も「安保上の理由で」
米海軍横須賀基地(横須賀市)で最初の感染が明らかになったのは3月26日。数日前に米国から戻った軍人1人だった。その後27、28日に2人ずつ、4月10日には1人の感染が横須賀市などの発表で分かり、これまでに軍人6人の感染が公表されている。
一方で、米CNNなどが4月中に、同基地に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンの乗員15人前後が感染と報じており、公表されている数を大きく上回っている。
米国防総省は3月30日、米軍の作戦上の観点から、米軍基地や戦闘部隊で感染者数を個別公表はせず、同省が全体数を公表すると発表した。この方針は現在も続いており、在日米軍司令部は同省の方針を受けて、「米国の戦闘即応性を保持し、作戦上の安全性を守るために、軍レベルでは感染者数を公表しない」と同様の見解を出している。
合同委の覚書
ただ、米国防総省の方針があっても、基地内の感染者情報について、日本側が把握していないわけではない。