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支援策検討へ、対象に朝鮮幼稚園を申請 川崎、横浜の両市

社会 | 神奈川新聞 | 2020年5月23日(土) 05:00

国の支援事業の調査対象として申請された川崎朝鮮初級学校=川崎市川崎区
国の支援事業の調査対象として申請された川崎朝鮮初級学校=川崎市川崎区

 幼児教育・保育無償化制度の対象から外国人学校が外された問題で、川崎、横浜両市は22日、対象外の施設の支援策を検討するために国が実施する調査事業の対象に、朝鮮幼稚園を申請した。文部科学省が自治体に対し、支援が必要な施設を挙げるよう募っていた。

 両市が申請したのは、川崎朝鮮初級学校、南武朝鮮初級学校の付属幼稚園と鶴見朝鮮幼稚園。川崎市は働き方の都合で対象外となった認可外施設の保護者を、横浜市はインターナショナルスクールや横浜中華学院などの外国人学校を、併せて申請した。

 調査は2021年度以降に実施する支援事業の在り方を検討する材料にするのが目的。第三者の審査委員の審査を経て、調査対象を6月下旬に選定。文科省が委託する形で自治体が保護者や施設に対し、子どもを通わせている理由や運営内容などを聞く。

 幼保無償化制度は幼稚園、保育所だけでなく、ベビーシッターまでを対象に昨年10月にスタート。「すべての子どもたちの健やかな成長を支援する」との理念を掲げ、全ての家庭が等しく負担する消費税を財源にしながら、教育・設備面で一定水準にある各種学校認可の外国人学校を除外した。

 とりわけ朝鮮幼稚園は、約90の外国人学校のうち40施設を占めており、高校無償化制度からの排除に続く扱いに、保護者や学校関係者らから「『朝鮮学校外し』が目的の差別政策」との非難が上がっていた。

 川崎市の担当者は「同じ市に住みながら経済的負担が異なるという不公平が子どもたちの間で生じている。格差は是正する必要がある」と話した。

 差別のない学ぶ権利を

 【解説】国の調査事業に手を挙げた川崎市子育て推進部の担当者は「朝鮮学校も他の施設同様、市内の子どもたちを預かってもらっている施設。要件を満たしており、応募は特別な判断ではない」と話す。

 市は無認可施設の保護者への補助金も、朝鮮学校を含めて分け隔てなく支給している。加えて市には学ぶ権利の保障や外国人であっても差別を受けない権利をうたう「子どもの権利条例」がある。昨年12月には「差別のない人権尊重のまちづくり条例」が市議会の全会一致の賛成で可決・成立した。担当者は「格差の是正が必要という考え方は、条例の趣旨にかなうものと考える」と付言する。

 川崎朝鮮初級学校の地元、川崎区桜本では地域住民の「朝鮮学校はわがまちの財産」という呼び掛けで差別の是正を求める署名活動が行われた。賛同した住民からは「自分たちのルーツを大事にする学校が認められないのはおかしい」といった声が当たり前に聞かれる。70年以上の歴史を有す朝鮮学校がいかに地域とともにあり、欠かせない存在となっているかを物語る。

 支援策の実施自体、無償化制度の欠陥を表すものといえ、市や地域住民の姿は外国人学校を対象外とした国の判断のいびつさを照らし出す。文科省は「各種学校は多種多様な教育を行っており、幼児教育の質が担保されていない」と説明するが、多様性の尊重は教育の基本。理由にならぬ理由に、拉致問題という政治・外交問題を不条理に持ち込んだ高校無償化制度からの排除と同様、「朝鮮学校外し」の結論ありきがいよいよ透ける。

 民族教育の保障は行政が掲げる「多文化共生」の内実を測る尺度となる。県や横浜市が朝鮮学校への補助金を打ち切ったように排除を当然とする思考は自治体にも広がる。保護者の思いや運営の実態に触れる調査事業を通し、国や自治体は自らの政策の差別性を直視し、その愚を正していく一歩としなければならない。

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