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わが子が自死、苦悩分かち合う 横浜、当事者ら語り合う会 

社会 | 神奈川新聞 | 2018年9月6日(木) 11:00

潤さんの写真を手に持つ南山さん=横浜市金沢区
潤さんの写真を手に持つ南山さん=横浜市金沢区

潤さんの写真を手に持つ南山さん=横浜市金沢区
潤さんの写真を手に持つ南山さん=横浜市金沢区

 愛する家族に突然先立たれ、悲嘆に暮れる。なぜ気付かなかったのか、何かできたのではと自責が募る。心の内を誰にも打ち明けられず傷口は開いたまま、時に心ない言葉を浴びせられる-。幾重にも苦悶(くもん)する自死遺族。次男を失った横浜市金沢区の南山みどりさん(65)もその一人。喪失感を抱え、悶絶(もんぜつ)する日々を過ごしたからこそ訴える。「命より大切なものはない」

 突然の別れだった。1996年、南山さんは次男の潤さん=当時(21)=を失った。

 南山さんの塾の元教え子らがトラブルに巻き込まれ、潤さんらが助けたことで相手に逆恨みされた。家族に危害を加えると脅され、追い詰められ、高速道路の高架橋から身を投げた。

 「信じたくない。夢から覚めたら潤が目の前に現れるのではないか」。その死を受け入れられぬまま迎えた通夜と葬儀には、500人以上が参列した。「私の知らないところでこんなにも愛されていたなんて」。どれほど望もうとも手は届かない。むせび泣いた。

 「あなたがちゃんとしないからでしょ」。生前、南山さんは憔悴(しょうすい)した潤さんを叱責(しっせき)し、口論が絶えなかった。「なぜ潤の苦しみを理解してやれなかったのか。私の言葉が死に追いやった」。悔い、自らを責めた。

 同居する母は認知症が進み、「潤君、潤君」と孫の名前を連呼した。矛先が自身に向けられているようでいらついた。「潤君の分まで生きないと」。高校生の妹は周囲の悪意なき言葉に心をざわつかせ、「自分が頑張らなくては」とプレッシャーを抱える一方、娘の自分がいながらも息子の死を引きずる南山さんにいら立ちを募らせた。潤さんの死が家族の関係をむしばんでいった。


生前の潤さん(南山さん提供)
生前の潤さん(南山さん提供)

 2010年、南山さんは自死で子どもを亡くした親の自助・他助グループ「あんじゅ」を立ち上げた。自身を振り返り、「遺族が本音を話せる場がほしい」との思いからだった。潤さんの死後、カウンセラーとなり、横浜市内で月1回、語り合う会を開く。毎回、全国から十数人が参加する。

 お花見、クリスマス、正月…。楽しかった日々を思い出すからと季節の行事を敬遠する遺族は多い。年末が近づくと年賀欠礼が話題に上る。南山さん自身、周囲から詮索されるかと思うと、筆を執ることはできなかった。会では「自死で子どもを失うこと自体が異例なこと。だから、非常識にも年賀欠礼を送らなくてもいいのでは」と語る。

 多くの遺族はわが子の自死を受け止めきれない。設立当初から参加する女性は相手の反応を恐れ、娘の自死を隠してきた。思いを共有できる人々と出会い、救われてきた。「会があるからこそ、今も生きていられる」と前を向く。

 潤さんの死から今年で22年。一緒に過ごした時間よりも長くなった。「潤を死なせた」との自責ゆえ、南山さんが写真を手にすることは滅多にない。見れば今も涙する。講演すると「子育てに失敗して偉そうなことを言うな」と中傷されることもある。

 「潤は何も悪くなかった。親としてなぜ信じ切れなかったのか」。南山さんは自問し、そして呼び掛ける。「親が子どもを信じなければ、誰が信じてあげるのでしょうか。どんなときでも子どもを信じてください。生きているだけで幸せにしてくれる大切な存在なのですから」

   ◇

横浜で8日に全国フォーラム
 10日の世界自殺予防デーを前に「全国自死遺族フォーラム」が8日、横浜市神奈川区のTKP横浜ビジネスセンターで開かれる。いじめ自死でわが子を亡くした4人が登壇し、体験を語る。午後1時半からで事前申し込み不要。参加無料。問い合わせは、全国自死遺族連絡会の田中幸子さん電話090(5835)0017。「あんじゅ」に関する問い合わせは、代表の南山さん電話080(5542)2204。

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