人種差別の撤廃に取り組むネットワーク団体「外国人人権法連絡会」は「日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書」を刊行した。毎年在日外国人の人権状況をさまざまなテーマで論じた報告書で、2020年版は昨年12月制定の「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」についてもリポートしている。

同条例を成立の経過から意義について報告しているのは、ヘイトスピーチ問題に詳しい師岡康子弁護士。外国にルーツのある人に対するヘイトスピーチに最高50万円の罰金を科す同条例を「日本で初めて差別を犯罪として処罰する画期的なもの」と評価している。
さらに、条例制定に導いた被害当事者中心の市民運動を「希望」と表現した上で、「表現の自由と刑事規制という日本社会の高いハードルを越え、国際人権基準へ歩む歴史的第一歩になった。他の地方公共団体での条例作り、国での法整備の土台となるだろう」とその意義を説いている。
このほか、インターネット上のヘイトスピーチや入管行政、技能実習制度の問題、朝鮮学校などマイノリティーの子どもたちの権利などについて研究者や弁護士、市民運動メンバーらが執筆している。
1部1000円。同会ホームページ(https://gjhr.net/hakusho/hakusho2020/application/)の申し込みフォームから注文できる。