1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 【減災新聞】箱根・大涌谷にシェルター 780人分整備へ

【減災新聞】箱根・大涌谷にシェルター 780人分整備へ

社会 | 神奈川新聞 | 2018年8月25日(土) 20:08

完成したシェルター。180人が逃げ込めるタイプで、屋上は展望スペースになっている =7月25日、箱根山・大涌谷
完成したシェルター。180人が逃げ込めるタイプで、屋上は展望スペースになっている =7月25日、箱根山・大涌谷

 県内唯一の活火山、箱根山(箱根町)の大涌谷で噴気地帯や特徴的な植物を間近にできる自然研究路に、噴石対策のシェルターが3基完成した。一帯は火山ガスの影響で今も立ち入りが禁じられており、シェルターがすぐに利用されることはないが、突発的な噴火時に逃げ込めるようになる。観測史上初の噴火に至った火山活動の影響で3年前から規制が続く大涌谷の全面再開に向け、安全対策が一歩進んだ形だ。

 県による全7基のシェルター整備事業は昨年度に始まり、先行整備された3基が今年7月に完成。大涌谷の事業者や報道陣に現場が公開された。残り4基は未着工だが、県は本年度中の完成を目指している。


シェルターの内部。ヘルメットなどの備蓄もできる
シェルターの内部。ヘルメットなどの備蓄もできる

 「7基のシェルターは、(往復約600メートルの)自然研究路におおむね100メートル間隔で整備する。つまり、研究路のどこにいても、50メートル走ればいずれかのシェルターに逃げ込める」と、事業を担当する県自然環境保全センター箱根出張所の山中光彦所長。2015年6~7月の噴火で形成された火口や噴気孔群との位置関係を考慮し、設置場所や規模などを考えたという。

 鉄筋コンクリート造で、天井や壁の厚みは約25センチ。さらに「防弾チョッキに使われるアラミド繊維のシートで補強し、直径30センチほどの噴石に耐えられる」(山中所長)ようにした。

 こうした構造は、内閣府の有識者検討会がまとめた退避壕(ごう)(シェルター)に関する手引の中で、対策例の一つに挙げられている。手引によると、木造であっても屋根をアラミド繊維などで補強すると衝撃耐性が向上し、直径10センチ程度の噴石が時速300キロで衝突しても貫通しないことが確認されている。

 大涌谷の7基のシェルターで収容できる人数は、計780人。10年前に行われた自然研究路の利用実態調査で、多い時で900人が滞在していたことを踏まえた。


晴天なら展望スペースから雄大な富士山を望める。平常時の利用も考慮している
晴天なら展望スペースから雄大な富士山を望める。平常時の利用も考慮している

 このうち120人については、箱根ロープウェイ大涌谷駅前の集客施設などに逃げ込むと想定。駅から最も遠い地点に、300人が避難できる最大のシェルターを建てることにした。避難スペースは1平方メートル当たり4人で算定しており、最も小さいタイプでも30人が逃げ込める。

 自然研究路は火山活動とは別に、02年の土石流災害で一部が通行止めになっていた。県はシェルターの設置とともに研究路の再整備にも取り組み、大涌谷の全面再開に向けた環境を整える。

 その時期について、シェルターを視察した箱根町の山口昇士町長は「最後まで課題として残るのが火山ガス。万が一のことがあってはならず、最大限の注意を払いながら判断したい」と述べた。


シェルターの脇には、風向きや火山ガスの計測装置がある。自然研究路は今もガス濃度が高く、規制解除のめどは立っていない
シェルターの脇には、風向きや火山ガスの計測装置がある。自然研究路は今もガス濃度が高く、規制解除のめどは立っていない

 大涌谷では15年4月に火山活動が活発化して以降、二酸化硫黄(SO2)や硫化水素(H2S)の濃度が高まり、研究路を含む規制エリアでは今も安全なレベルにまで低下していない。ぜんそく患者や呼吸器疾患、心臓疾患などがある「高感受性者」は、研究路だけでなく、名物の黒たまごが販売されている大涌谷園地への立ち入りやロープウェイの乗車も禁じられている。


自然研究路とシェルターの設置場所
自然研究路とシェルターの設置場所

自助のヒント シェルターの手引き



 63人が犠牲になり、戦後最悪の火山災害となった2014年9月の御嶽山(長野、岐阜県)噴火を踏まえ、内閣府の有識者検討会がまとめた。御嶽山噴火では山頂付近にいた大勢の登山客が巻き込まれたが、山小屋に逃げ込んで命を守った人も多い。手引はこうした点も踏まえ、トイレやバス停を兼ねた退避壕(ごう)を紹介。発生頻度が高い一方で前兆現象を捉えにくい小規模噴火への備えを優先すべきとの考え方を打ち出し、各火山の状況を踏まえて対策を講じるよう促している。

減災新聞に関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング