昨秋の台風19号被害で一部区間の運休が続く箱根登山鉄道は11日、箱根湯本駅─大平台駅間で試運転を開始した。7月下旬に予定している全線の運転再開に向け設備の確認などを実施しており、地元からは期待の声が上がっている。

約7カ月ぶりに箱根湯本駅から強羅駅方面へ出発した赤い車両は、新緑の中を軽快に走り抜けた。塔ノ沢駅前で物産店を営む篠崎宏至さん(80)は「(火山活動による)大涌谷の警戒レベル上昇、台風、コロナ禍と災難続きだが、久々に明るいニュースでうれしい。箱根に元のにぎわいが戻るのが楽しみ」と話した。
同鉄道は昨年10月の記録的大雨によって線路が流出したり、土砂に埋まったりする被害を受け、箱根湯本─強羅間で運休している。宮ノ下─小涌谷間の「蛇骨じゃこつ陸橋」などでは現在も復旧作業が続く。復旧が完了次第、試運転区間を順次延長していくという。
同社は「コロナ禍の終息後に万全な状態でお迎えできるよう、安全の確保に取り組む。再開を待つ地元の期待に応えたい」と話している。

