感染の拡大する新型コロナウイルスが、県内の花卉(かき)農家に深刻な影響を与えている。卒業式、送迎会、入学式と続く春の書き入れ時を棒に振ったばかりか、今月10日の「母の日」に贈るカーネーションの需要も低迷。「赤字が長引くと廃業も考えざるをえない」との悲鳴も上がる。活路を見いだすため、インターネット販売を模索する動きもみられる。
カーネーションの出荷量が県内トップクラスの秦野市。市農協花き部会カーネーション部の部長を務める櫛田雅洋さん(59)=同市落合=は例年、卒業式シーズンを前に、東京都内の市場に赤やピンクなど多彩な種類のカーネーションを出荷してきた。今年は、緊急事態宣言が発令された4月上旬から停止している。
「いつもなら何千人、何万人にカーネーションを含む花々が手渡されるが、卒業式や入学式の規模が縮小され、それがなくなった。生花店も買い控えし、値崩れが起きている」と櫛田さん。自宅近くの無人直売所で1束300円で販売を続けるが、市場出荷に比べて限界もあり、売れない場合は廃棄するしかない。