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やまゆり園 事件考 記者の視点=編成部・成田洋樹
共生への道しるべ(下) 出会いから始めよう

社会 | 神奈川新聞 | 2020年5月6日(水) 09:30

小学校から共に学び、友情を育んできた友利ひよりさん(左)と林京香さん
小学校から共に学び、友情を育んできた友利ひよりさん(左)と林京香さん

 何かが「できる、できない」という能力で子どもたちを評価し選別する教育が、障害者への差別意識を生み出す温床になっていないか-。

 2016年7月にやまゆり園事件が起きたとき、県内公立小学校に勤務する30歳代の教諭はそう思わざるを得なかった。教育の在り方が問われた事件として受け止めていたが、職場の反応はどこか冷めていた。同僚に水を向けても「考えすぎでは」と取り合ってくれなかった。

 なぜ、温度差があるのか。それは、障害の有無や程度で学ぶ場を分ける政策を文部科学省が取り続けているからであり、学校現場でも「分ける教育」が日常になっているからだ。障害の程度や学力に応じて支援が必要な子の「ニーズ」に合わせた教育を重視し、学ぶ場を分けて個別支援で力を引き上げるべきだとする考え方が教育行政だけでなく教員の間でも根強い。

 この教諭がかつて受け持ったクラスでは、知的障害のある子も一緒に学んでいた。クラスの子たちは「支援が必要な子」としてではなく、一人の友人として接していたという。障害や学力で「分けない教育」で共に学んでいたからこそ築ける関係性だった。

 「事件を機にあらためて、共に学ぶ『インクルーシブ教育』の意義を考えるべきだ」。教諭の訴えは事件後のあるべき教育の姿を指し示していたが、教育のありようが根本的に変わる気配はない。他者との関係性を築く教育よりも個人の能力をひたすら伸ばす教育にむしろ拍車が掛かっている。

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