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移動を後押し、コーディネーターの7人
支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 担い手の住民たち(1)

社会 | 神奈川新聞 | 2018年8月12日(日) 02:00

民生委員やボランティアに支えられ、上飯田地区移送支援サービス実行委員会の車両に乗り込む高齢者(左)=横浜市泉区
民生委員やボランティアに支えられ、上飯田地区移送支援サービス実行委員会の車両に乗り込む高齢者(左)=横浜市泉区

 高齢者が住み慣れた地域で暮らすことを支える地域包括ケアシステムの構築に向け、介護保険制度では、住民主体の助け合いの仕組みづくりの推進役として「生活支援コーディネーター」(地域支え合い推進員)が配置されている。

 配置方法は市町村が地域事情に応じて決めており、横浜市では2016年度から、区に各1人、地域ケアプラザなど(地域包括支援センター、17年度末で140カ所)にも各1人を新たに配置した。

 2年が経過し、7人の生活支援コーディネーターが連携しながら、移動支援などを進めている横浜市南西部の泉区の状況を見た。

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 「送迎がなかったら来られなかった。本当にありがたい。感謝です」。ボランティアらに支えられながら車から降りた83歳の男性が、喜びの声を上げた。

 3月、いずみ中央地域ケアプラザで上飯田地区社会福祉協議会主催の高齢者食事会が開かれた。男性は病気のため、つえを使ってようやく歩ける状態。自力では外出できない。

 上飯田地域ケアプラザから地域を回ってきた福祉車両に自宅まで寄ってもらい、会場に来ることができた。「送迎がなければ家にこもりきり。テレビを見ているだけだった」。約60人が参加した食事会では、近所の知人と久しぶりに会って近況を確かめ合うこともできた。

 福祉車両は、地域住民(民生委員)、運転ボランティア、上飯田地域ケアプラザでつくる「上飯田地区移送支援サービス実行委員会」が運行した。この日は、ボランティア2人が運転手を務め、民生委員1人が添乗、男性を含め6人の高齢者を送迎した。

 委員会の移動支援は17年度、計9回の運行で延べ83人の高齢者を送迎。運転ボランティアには32人、添乗者も20人が携わった。運行の調整役を担ってきた上飯田地域ケアプラザ生活支援コーディネーターの露口能秀さん(48)は「住民、ボランティア、地域ケアプラザの3者が一緒になって実施してきました」と強調した。

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 横浜市の生活支援コーディネーター配置は、区域では区社会福祉協議会に、日常生活圏域は地域ケアプラザ業務委託法人(地域ケアプラザ以外の地域包括支援センターでは、その業務委託法人)に事業委託し、新たな人員配置を行ったことが特徴だ。

 地域ケアプラザには、地域活動全般を支援する常勤の「地域活動交流コーディネーター」がもともと配置されており、高齢者支援を主任務とする常勤の生活支援コーディネーターが加わったことで、地域づくりの体制は大きく強化された。

 ただ、コーディネーターの所属法人が異なるため、地域ケアプラザの垣根を越えた連携や地域づくりは課題となる。

 泉区では、区社協のコーディネーターと、6カ所の地域ケアプラザ(5法人)のコーディネーターの7人が活動している。17年度まで泉区社協職員として区のコーディネーターを務めた阿部嘉之さん(42)は「コーディネーターの皆さんは地域での経験が豊かで協力体制もできた。7人が一つの方向に向かえた」と話した。

 ◆生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員) 介護保険制度の生活支援体制整備事業で配置が制度化された。(1)生活支援の担い手の養成やサービスの開発などの資源開発(2)サービス提供主体など関係者のネットワーク構築(3)ニーズとサービス活動のマッチング-を担う。市区町村全域(第1層)担当と、日常生活圏域(第2層)担当があり、地域の実情に応じ配置する。川崎市では、区域は各区にある「地域みまもり支援センター」の社会福祉職(各区1人)、日常生活圏域は同センターの保健師(全市で約120人)とし、新たな人員配置は行わなかった。相模原市では区域は市区職員7人が兼務、日常生活圏域は市社会福祉協議会に事業委託し、同社協から各地域包括支援センターに計29人が新たに配置された。

 
 

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