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平和問題に取り組み、ピースデポ20年 冊子制作、求む後継者

社会 | 神奈川新聞 | 2018年8月4日(土) 09:46

歩みをまとめた冊子を手にするピースデポの梅林さん(右)と共同代表の山中さん=県庁
歩みをまとめた冊子を手にするピースデポの梅林さん(右)と共同代表の山中さん=県庁

 「市民の手による平和のためのシンクタンク」として、誇りを守り続けてきた。草の根から非核化、軍縮を訴えて20年。平和問題に取り組むNPO法人ピースデポ(横浜市港北区、山中悦子・湯浅一郎共同代表)が節目を迎えた。神奈川をはじめ全国の基地県が抱える問題をあぶり出し、鋭く追及してきたが、近年は高齢化の波が寄せる。次の10年、そして未来へ。後を託す者たちを求めている。

 前年11月の設立総会を経て1998年1月1日、ピースデポが組織として活動を始めた。以来、日米の情報公開法を用いて日本の安全保障政策に警鐘を鳴らしてきたが、地道な積み重ねが実ったのは2007年9月だった。

 米国の情報公開制度で、イラク戦争に参加した米海軍の航海日誌を入手。03年に海上自衛隊の補給艦「ときわ」から米空母「キティホーク」へ間接的に給油されていたことを突き止めた。

 「こだわりを持ち続け、情報を蓄積したたまもので、それこそ市民団体の強みだと思う」と元代表で特別顧問の梅林宏道さん(80)。政党に寄らず、思想にも縛られない活動を続けた自負がある。「しがらみがなく、ストレートに情報発信できる。かけがえのない役割を果たしてきたのではないか」

 昨年、世界で核廃絶に努力した人や団体をたたえる「核のない未来賞」を受賞した梅林さんは、「北東アジア非核兵器地帯構想」を提唱する。日本と韓国、北朝鮮を非核地帯とし、核兵器保有国の米国、中国、ロシアを合わせた計6カ国で条約を結び、核を持ち込ませないという構想だ。

 ただ、構想の実現には遠い。昨年7月に国連で核兵器禁止条約が採択されたが、日本政府や核保有国などが批准しておらず、未発効の状態が続いている。「ゆっくりとは進んでいるが、日本が確固たる決意を持って変わろうとしないと」

 基地県である神奈川を足場としてきた。その意義をかみしめると同時に、県外に一歩出れば懸念も募るという。「神奈川はまだ高い方だが、広島、長崎と比べ、市民の核兵器問題への関心に温度差がある」。憂いはそればかりではない。

 全国で約550人いる会員も大半が50代以上となった。「若い人たちに自分の問題として意識してもらえるようアピールする必要がある」と梅林さん。ピースデポは20年の歩みを冊子にまとめた。過ぎた日を振り返るだけではない。明日へ向けた未完の手引だ。

 
 

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