
猛暑が続く中、小学生の子どもらを持つ小田原市の母親有志が、市立小中学校の普通教室へのエアコン設置を求め動きだした。今月インターネットで署名を募り、24日に賛同する約1万5千人分を市に提出した。県教育委員会によると、公立小中の普通教室に備えている自治体は8割近いが、小田原市などは未設置。母親の一人は「小田原を起点に導入を考えるきっかけになれば」と話している。
普通教室へのエアコンの設置を要望しているのは、市内在住の主婦岩瀬祐子さん(33)と、会社員加茂圭子さん(39)。保育士の資格を持つ岩瀬さんは小学2年の長女ら4人、加茂さんは小学3年の長女ら3人を育てている。
愛知県豊田市で今月17日、校外学習から学校に戻った小学1年の男児(6)が熱中症の一種の熱射病で亡くなったことが動きだす契機になったという。
19日に署名サイトで「小田原市内の全公立小・中学校にエアコン設置を」と呼び掛けたところ、賛同者は瞬く間に1万人を超えた。署名は現在も募集中だが、危険な猛暑が続いているため、24日夕に1万5千人を超える署名を加藤憲一市長宛てに提出した。
岩瀬さんは「この夏、子どもたちが危ないと感じた」と憂慮。「設置されていない全国各地からの反応からも設置を切に願う」と話す。
市教委によると、市立小中学校(小学校25校、中学校11校)の音楽室や家庭科室など「特別教室」には順次、空調(冷房)設備を整えている。だが普通教室には設置しておらず、各教室では扇風機4台を置いて暑さをしのいでいるという。
小田原市内の全小中学校に設置すると数十億円の費用が見込まれるが、岩瀬さんらに応じた時田光章副市長は「国に対しても財政的支援を求め、きちんと対応していきたい」と善処を約束。一方、政府は今月に入り、小中学校のエアコン設置を支援する補助制度を検討している。
岩瀬さんらは26日、県教委にも署名を提出した。