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にじみ出た心の弱さ 元司法担当・桐生勇

社会 | 神奈川新聞 | 2018年7月27日(金) 02:00

 1995年9月、長野県大町市郊外の湿地帯。父母と引き離された1歳2カ月の坂本龍彦ちゃんは6年もの間、冷たい地中にいた。小さな体の捜索は難航。父堤さん、母都子さんの遺体発見から4日後にようやく見つかった。

 「こんな場所に幼子を」。捜索現場を取材中、坂本弁護士一家殺害事件に関与したオウム真理教信者たちへの嫌悪が渦巻いた。中でも、岡崎一明死刑囚に対して。

 捜索現場は事件発生から3カ月後、岡崎死刑囚が出した匿名の投書が指摘した遺棄場所とほぼ重なっていた。県警と坂本弁護士が所属していた事務所に送付。教祖の松本智津夫元死刑囚から口止め料をせしめた。投書の主を岡崎死刑囚と特定した県警の聴取にはうそを述べ続けた。坂本さん一家の身内や同僚の悲痛な姿を知りながら関与を隠す。人はここまで卑しく冷酷になれるのか。一連の所業に寒気を覚えた。

 岡崎死刑囚が坂本弁護士一家殺害事件などに関与したとして逮捕された3年後、東京地裁にその小柄な姿を見た。覚悟をしていたのか。極刑を告げる裁判長の言葉に身じろぎはなかった。これまでの公判で見せた涙はなく、青ざめた顔は無表情だった。

 同じ裁判長が、地下鉄サリン事件の実行犯だった林郁夫受刑者に対しては「真摯(しんし)な反省があった」として無期懲役を言い渡していた。「欲得と打算に根差した虚偽の供述」「関与を隠し続けたしたたかさと狡猾(こうかつ)さ」。判決は岡崎死刑囚の自首成立を認めたが「動機は真摯な反省ではなく、自己保身」と強く非難した。

 最古参ながら教団から早く離れた。教祖に盲従した幹部が多い中、教祖を手玉に取ってもいた。公判で指摘された狡猾さ、欲得…。岡崎死刑囚の保身は、心の弱さという意味であまりに人間くさいとも言えた。

 執行を前に反省の日々を送っていたとの報に触れた。保身に寄らぬ反省がもっと早くにあったなら、その後の教団の凶行は防げたのでは…。仮定の話はむなしいと知りながら、今、その思いに強く駆られる。

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