【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市中原区のスポーツ施設「市とどろきアリーナ」で、イスラエル企業がテロ対策装備などの展示会を計画している問題で、同区と指定管理者は23日、施設の使用を許可した経緯を市民団体に明らかにした。開催に反対し、許可取り消しを求める市民団体が公開質問状を出していた。
回答では、同アリーナの設置条例に定めた不許可要件に照らし、「大規模イベントなどの安全対策に関する出展で、施設の利用を制限するものではない」と判断理由を説明した。展示会の概要案の提出を受け、コナミスポーツクラブや川崎フロンターレなどでつくる指定管理者が、市と区の見解を確認した上で許可した。
回答を受け、「川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会」は「形式的な判断にとどまり、テロ対策とはいえ、戦争犯罪と一体の軍事システムの一環という本質を見ていない。平和を掲げる自治体が公共施設を会場として提供するなどあり得ない」と批判。市と区に対し、許可取り消しの要求書を提出することを決めた。
「ISDEF Japan(イスラエル国際防衛・国土安全保障見本市)」は8月29、30日に開催予定。同会は、公共施設の提供は「核兵器廃絶平和都市を宣言し、多文化共生を掲げる市の理念に反する」とし、使用許可の取り消しを求めている。