横浜市は25日、公民連携で家庭環境などに困難を抱える子どもの支援サービスを提供し、社会的インパクトを評価するモデル事業を市など5団体で実施すると発表した。いわゆる「こども食堂」や学習支援などの成果を、出席日数改善などの数値で評価する。市は将来的には民間投資によって民間事業者が公共的な事業を実施し、その成果に応じて行政が後払いで償還を行う社会的インパクト投資(SIB)の仕組みの導入を目指す。
社会的インパクト評価とは、事業や活動の結果として生じた社会的・環境的な変化、便益の効果を数値化し、事業や活動に価値判断を加えることを指す。
モデル事業は、社会福祉法人「たすけあい ゆい」(同市南区)が同区で運営するコミュニティーサロン「おさん」で実施し、期間は31日から2017年度末までの1年半。家庭環境などに困難を抱える周辺地域の小中学生を対象に、平日午後3~8時に居場所と夕食(小学生100円)を提供するほか、地域住民や大学生ボランティアらによる無償の学習支援も週3回行う。
モデル事業の進捗管理や社会的インパクト評価計画の作成は公共経営・社会戦略研究所(東京都千代田区)が実施。サービスを利用する子どもたちに生活習慣や学力など20項目ほどのアンケートを行い、第三者評価機関の明治大プログラム評価研究所(同区)が成果の達成度を評価する。
モデル事業の実施、評価などの必要経費をゴールドマン・サックス証券(東京都港区)が全額寄付金として提供した。
ゆいの浜田静江理事長は「支援を次の世代につなげるシステム。たくさんの協力と関心を寄せてほしい」と話している。