坂本堤弁護士と県立横須賀高校でクラスメートだった元横須賀市環境政策部長の森山武さんは6日、松本智津夫死刑囚らの死刑執行について、「私個人は、けじめだという意識、長かったという気持ちが強い。おふくろさま(坂本さんの母のさちよさん)のご存命中に一つの節目があって良かったと、はたから見ていて思う」と述べた。
森山さんによると、坂本さんのクラスメートは総じて「おふくろさまが元気なうちに、けじめをつけるべき」という考えだったという。森山さんは、さちよさんと死刑が執行された場合の話をしたことはないというが、「お墓参りの時々に、『うらみつらみという時期は越えている』とおっしゃっていた」といい、「おふくろさまは達観されていると思う。実際に死刑が執行され、前もって思っていたこととは違うという可能性はあるが、淡々と受け止められているのではないかと想像している」と話した。
一方で、当時、坂本弁護士一家の事件捜査に携わった県警の元捜査員からは安堵(あんど)と悔恨の思いが口を突いて出た。松本死刑囚の捜査にも関わった元捜査員は「被害者に一安心してもらえ、坂本さん一家も成仏できると思う。被害者のためにやってきたので、本当に良かったと思う」。
遺体捜索などに関わった別の元捜査員は「あの時に松本死刑囚を逮捕できていれば、その後の事件も起きなかったかもしれないが、証拠がなかった。当時、やれることは全てやった」と苦しい胸の内を吐露。土中から遺体を発見した時は「ようやく見つけられた」と手を合わせたという。刑の執行については「事件の全容を明らかにしてほしかったが、やっとかという思いもある」と複雑な思いを口にした。