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児童支援コーディネーター(下)人材確保・育成が課題 教育現場2018

社会 | 神奈川新聞 | 2018年7月3日(火) 02:00

同僚教諭と意見交換する児童支援コーディネーターの安部教諭(中央)=川崎市中原区の市立宮内小学校
同僚教諭と意見交換する児童支援コーディネーターの安部教諭(中央)=川崎市中原区の市立宮内小学校

 2015年3月、川崎市立宮内小(中原区)の安部涼子教諭(39)は「児童支援コーディネーター」に指名された。思ってもみない辞令だった。担任を持たず、全児童を対象に校内支援体制づくりを担う推進役。学校全体を見渡す立場で、40~50代の経験豊富なベテラン教諭が就くことが多い。同小で6年目を迎えようとしていた当時36歳の身には「私にできるのか」との思いが先に立った。当時を振り返り、「不安しかなかった」と打ち明けた。

 とにかく無我夢中で走った。前任者や、別の市立小の児童支援コーディネーターに何度も教えを請うた。専門書を読みあさり、市教育委員会主催の研修のほか、外部の勉強会にも足を運んだ。「コーディネーターになるための情報が必要で、その吸収に力を注ぎました」

 ただ、安部教諭をコーディネーターに抜てきした丸山衛校長(59)は心配していなかった。「担任の時から児童や保護者の対応で信頼を築いていた。重圧はあったはずだが、大丈夫だと確信していた」

 17年度から市立の全113小学校で児童支援コーディネーターを専任化した川崎市には、全国から運用実態を学ぼうと、問い合わせが相次ぐ。試行を始めた12年から3年間、児童支援コーディネーターを務めた市立長沢小(麻生区)の渡邊晴美校長(55)は、コーディネーターの役割の重要性を指摘した上で「全校に1人でいいのか。学校規模によって複数のコーディネーターを配置できれば、よりきめ細かく児童や保護者に対応できる」と話す。

 ただ、先進地の川崎でも、児童の異変をいち早く察知し、保護者への対応から校内の連絡調整まで担う人材の確保・育成は容易でないのが実情だ。

 宮内小では、児童の指導でトラブルがあった場合は2人の教諭で対応するなどのルールを、児童支援コーディネーターを中心に作っている。安部教諭は「わたしが転勤になったとしても、ルールを定めたり、対応事例の情報を共有したりして、校内全体で体制を強化しないといけない」と訴える。市教委も「人が変わったら、体制が崩れてしまうようなことは許されない」と現場での課題を共有している。

 市立小で蓄積した児童支援コーディネーターのノウハウを生かし、一部の市立中学校との連携も始まっている。進学先の中学と情報共有し、学習面や生活指導などのサポートに役立てる試みだ。市教委は、市立中でもコーディネーターの専任化も見据えた議論を始めている。

 
 

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