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東京湾、クジラ悠々 目撃相次ぎ、注意喚起

社会 | 神奈川新聞 | 2018年7月1日(日) 02:00

東京湾でジャンプするクジラ=18日(内木章人さん提供)
東京湾でジャンプするクジラ=18日(内木章人さん提供)

 東京湾でクジラの目撃情報が相次いでいる。単独で行動しているザトウクジラとみられる。第3管区海上保安本部(横浜)は、湾内北部を中心に絶えず移動しているとして、目撃情報があった付近を航行する船舶に注意を呼び掛けるとともに、見学目的でみだりに近づかないように求めている。 

 3管によると、目撃されているクジラは体長10メートル~15メートルほど。最初に目撃されたのは6月18日朝、東京ゲートブリッジ近くの東京・葛西沖で航行中の漁船から通報があったという。

 同日以降、荒川河口付近から東京湾アクアラインの海ほたるパーキングエリア(PA)付近の広い範囲で連日、目撃情報が寄せられている。巡視船艇が付近をパトロールしているがクジラを発見できておらず、引き続き船舶からの通報を求めている。

 千葉県船橋市で「つり船 内木(ないき)」を経営する船長内木章人さん(47)は24日午後3時10分ごろ、海ほたるPAから北約4キロ沖を航行中に偶然目撃。クジラから100~150メートル離れた場所から20分間ほど観察した。「ジャンプを繰り返したり、胸ひれや尾びれを何度も海面に打ち付けたりする様子は迫力があった。まさか東京湾を走る自分の船でクジラを見るとは思わなかった」と興奮気味に話した。

 3管の情報提供を受け、クジラの目撃情報がある湾内の海域では、船舶は速度を落として航行している。東海汽船(東京都港区)は東京・竹芝桟橋と伊豆諸島を結ぶ旅客船を運航しており、太平洋上のクジラが多い海域で徐行することはあるが、東京湾では珍しいという。担当者は「高速船は減速によるダイヤに遅れが生じているが、安全が最優先」と話す。

 クジラの生態に詳しい東京海洋大の中村玄助教によると、胸びれなどの特徴からザトウクジラとみられるという。中村助教は「餌を求めて南の海域からオホーツク海などへ北上する時期。偶然、東京湾に迷い込んだのではないか」とみている。

 中村助教によると、東京湾にクジラが迷い込むことは珍しく、直近では昨年3月、希少種のコククジラとみられるクジラが横浜市金沢区の八景島沖などで目撃された例がある。

 一方、クジラの出現が地震の予兆とするインターネットでの書き込みが多発していることについて中村助教は「クジラと地震の関係性を示す科学的な根拠は全くない」と強調。クジラを一目見ようと湾内を航行するボートもあるといい、「近付くことは大変危険。クジラはいずれ自力で北へ向かうとみられる。そっとしてあげてほしい」と話している。


東京湾でジャンプをするクジラ=18日(内木章人さん提供)
東京湾でジャンプをするクジラ=18日(内木章人さん提供)
 
 

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