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不登校の子ら自分探しの旅 横浜-長野300キロ行脚、資金難で最後か

社会 | 神奈川新聞 | 2018年6月27日(水) 11:45

のむぎフリースクールを出発する一行 =横浜市青葉区(同スクール提供)
のむぎフリースクールを出発する一行 =横浜市青葉区(同スクール提供)

 不登校や高校中退の経験者らが歩いて旅をして、人と触れ合いながら、将来について考える「平和のバラ街道」行脚が行われた。企画したのは横浜市青葉区の「のむぎフリースクール」。若者が自分と向き合う貴重な機会になっていたが、代表の樋口義博さん(70)は「スクールの生徒が減って、資金面で苦戦している。今回で最後になる可能性もある」と話している。

 同スクールは1982年に発足。行脚は樋口さんが「自然に親しみ、テント生活の苦労を経験することで、たくましくなってほしい」と91年にスタートし、これまで延べ数百人の若者が参加した。過去にはほとんど口を開かなかった子どもが4日目には話すようになるなど「旅の教育力」を実感しながら継続してきた。

 今回は5月3日から23日までの21日間。同スクールをスタートし、平和を考えながら「秩父事件」のあった埼玉県秩父市や日航ジャンボ機墜落事故現場の群馬県上野村などを巡り、スクールの賛同者から提供を受けている長野県上田市の「真田のむぎ山荘」を目指し、約300キロの行程を進んだ。

 樋口さんの孫で小学1年生の頃から不登校の男子(14)も参加。出発時にはOBらも駆け付けて東京都青梅市まで同行し、ただ一人全行程で参加した男子を勇気づけた。道中、「一緒に歩きたい」と飛び入りで加わる人との出会いや、降雨でテント内に水が染み込んで寝袋がぬれるなどの苦労も。山間部では小熊やシカと遭遇するハプニングもあった。

 途中参加者らはいたものの、3年連続で参加した男子だけが完歩した。義博さんは「(男子が)将来の夢を語るなどいい刺激になった。行脚に参加する前よりも成長できた」と目を細める。

 不登校の子どもの居場所が多様化したこともあり、現在の同スクールの正式な生徒は男子だけ。四半世紀以上続く恒例行事だが、義博さんは「希望者はいるが、テントなどの用品が傷み、カンパだけでは成り立たない。私も病気を経験し、高齢になった」と次回以降の開催は不透明だ。

 男子は「初めて単独で歩き切った。3度も完歩でき、達成感も生まれた。一つの区切りになった」と話していた。

 
 

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