相模原市内を流れる相模川、鳩川、道保川、境川の洪水ハザードマップが改定された。浸水想定区域に立地する福祉施設や土砂災害の恐れがある区域などを明示し、風水害の多様なリスクを強調したのが特徴だ。市はマップと別に、台風接近時の家庭などでの対応をあらかじめ定める「マイ・タイムライン」(防災行動計画)作りの手引も作成。昨秋の台風19号の教訓を踏まえ、「逃げ遅れゼロ」への取り組みを促している。
ハザードマップは、災害予測地図や避難地図と呼ばれ、リスクのある地域と避難場所などを示すものだ。今回の改定では、4河川の流域で想定される最大規模の雨で浸水するエリアを図示した。相模川では南区のJR相模線相武台下、下溝両駅付近を中心に浸水範囲が広く、境川はほぼ全域に影響が及んでいる。
こうした範囲に立つ学校や保育園、老人ホーム、グループホームなどを明記。氾濫した水がたまり、車が立ち往生しやすいアンダーパス(立体交差式地下道)を示したほか、水位や雨量の観測地点も地図上に落とし込んでいる。
また、洪水の危険エリア以外にも、崖崩れや土石流に住宅や施設が巻き込まれる恐れがある土砂災害警戒区域も併記した。「台風などの際は洪水も土砂災害も起きる。自分の住む地域にどちらのリスクがあるか理解してもらうため」(市危機管理課)だ。
また、マイ・タイムラインの手引では、台風時の避難開始のタイミングを家庭の状況に応じて決めてもらうため、大雨警報や避難勧告などの発表段階にどのような準備や行動をすべきか例示。境川や鳩川など川幅が狭い中小河川は水位が急上昇しやすい一方、相模川は城山ダム(同市緑区)の緊急放流時に最大限の警戒が必要と強調し、早めの避難で自らの命を守るよう呼び掛けている。
ハザードマップと手引はいずれも2月に完成。市のウェブサイトでダウンロードできる。串川、道志川のマップは2020年度に改定予定。