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保育所職員7割「低賃金」 年収200万円以下2割 川崎の市民団体と大学共同調査

社会 | 神奈川新聞 | 2018年6月19日(火) 02:00

保育所の労働実態調査を報告する市保育問題交流会の川岸代表(手前右)と専修大の兵頭教授(同左)=川崎市役所
保育所の労働実態調査を報告する市保育問題交流会の川岸代表(手前右)と専修大の兵頭教授(同左)=川崎市役所

 川崎市内の認可保育所で働く人を対象に、市民団体と大学が実施した労働実態調査で、約7割の人が自身の賃金について「やや低い」「低すぎる」と回答したことが分かった。年収は200万~300万円の層が34・4%で最多だった。200万円以下と答えた人も約2割に及んだ。保育所で働く人の賃金水準の低さがあらためて浮き彫りになった。

 調査は、市民団体「川崎市保育問題交流会」(代表・川岸卓哉弁護士)と専修大経済学部の兵頭淳史教授のゼミ生らが協力して、昨年8~9月に市内316の認可保育所の職員を対象に実施。82の保育所から計772通の回答があった(回収率24・4%)。川岸代表によると、市内の保育士らの労働実態に関する調査は初めてという。

 月給でみると基本給は15万~20万円が最多で32・9%。25万円以下を合わせると65・8%に達した。時給では1200円以下が8割を超え、およそ3人に1人が千円以下と回答した。こうした実態を反映し、自身の賃金水準について「やや低い」「低すぎる」との回答が合わせて73・6%に上った。

給与や勤続年数、運営主体で格差


 また、運営主体によって給与などの格差が顕著なことも浮き彫りになった。年収では、公設公営の保育所で500万円を超える人が約6割を占めた一方で、社会福祉法人運営の保育所では300万円以下が6割弱に達した。株式会社運営の保育所でもおよそ7割が300万円以下だった。

 勤続年数も公設公営の場合、11年以上の長期勤続者が8割超なのに対し、社会福祉法人では勤続7年以下の人が8割。株式会社の保育所では7年以下は9割を超え、3年以内の人が65%に達していた。

 このほか、調査では「誰かが休んだとき、代わりの人員が足りない。休憩を取れていない人がいる」「休日が取りづらい。子どもに対して職員の人数がぎりぎりだと思う」といった切実な声が寄せられた。

 川岸代表は「国の職員配置基準では実際の業務は行えないので、各自治体が独自の基準を設けて職員を配置している。まずは国の基準を変える必要がある」と指摘。運営主体による格差にも言及し、「私立保育所での処遇改善とともに、公立保育所の民営化にも歯止めをかけていかないといけない」とした。

 同交流会は「保育所での働き方の改善に向け、議論の土台にしてほしい」とし、調査内容を市に提出。今後、市議会にも提出を予定している。

 
 

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