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【減災新聞】河川氾濫時、迅速避難へ緊急連絡 県が31市町村と「ホットライン」

社会 | 神奈川新聞 | 2018年6月18日(月) 02:00

河川管理者の県が中心となり、本年度に取り組む中小河川の大規模氾濫対策を検討した協議会=5月31日、県庁
河川管理者の県が中心となり、本年度に取り組む中小河川の大規模氾濫対策を検討した協議会=5月31日、県庁

 中小河川の氾濫による人的被害を防ごうと、県は危険水位に達したことなどを地元市町村の首長や幹部職員に直接伝える「ホットライン」を導入する。水位観測と連動した即時配信のメールを主な手段として本年度中に運用を始め、「避難勧告などの迅速な発令に生かしてもらう」(県河川課)考えだ。ただ、対象河川数が80を超える上、流域の開発で水位が急激に上昇しやすい都市河川が多いため、地元市町村の避難対応には難しさがつきまとう。

 県河川課によると、対象となるのは、水防法に基づき「水位周知河川」に指定されている県管理の1、2級河川。早淵川や帷子川、大岡川、境川、引地川、目久尻川、中津川、金目川、早川など計83河川あり、対象河川がない三浦市と真鶴町を除く31市町村との間でホットラインを構築予定だ。東京都町田市とも調整する。

 これらの河川には水位観測所が設けられ、それぞれ段階的な警戒水位(低い方から水防団待機水位、氾濫注意水位、避難判断水位、氾濫危険水位)が定められている。

 県が整備するホットラインでは、洪水の危険性が最も高い氾濫危険水位に達した場合などに、避難対応を担う市町村長や幹部職員にメールを自動で配信。必要に応じて電話でも注意を呼び掛ける方向だ。国の指針では、氾濫危険水位で避難勧告を、一つ低い避難判断水位で避難準備・高齢者等避難開始を発表するよう市町村に求めている。

 こうした取り組みの背景には、近年多発する大規模水害の教訓がある。地元市町村長らの避難判断が遅れるなどし、被害が拡大するケースが多い。

 1級河川・鬼怒川が決壊した2015年9月の関東・東北豪雨時は逃げ遅れて孤立する住民が相次ぎ、約4300人がヘリコプターなどで救助された。16年8月の台風10号では氾濫した岩手県内の2級河川・小本川の近くに立つ高齢者グループホームで適切な避難対応がとられず、入所者9人が死亡。有識者らの検討を経て「避難準備情報」の名称が「避難準備・高齢者等避難開始」に変更され、高齢者や障害者らは避難を開始する状況との意味が明確化されることとなった。

 こうした経過から、国や自治体が進める河川の大規模氾濫対策の中でも、ホットラインの活用は柱の一つとなっている。神奈川県内では、いずれも「洪水予報河川」に指定されている大規模な多摩川、鶴見川、相模川と酒匂川で、管理者の国や県が地元市町との間でホットラインを構築済み。今回の県の取り組みは、これを中小河川にも拡大する形となる。

厚木、小田原浸水広く 3河川氾濫想定


 県が管理する中小河川の大規模氾濫対策の一環で、県央部を流れる相模川水系玉川・細田川と、県西部の山王川水系山王川で最大級の雨が降った場合の浸水想定図が新たに公表された。玉川・細田川では厚木を中心とした3市で、山王川は小田原市で広範囲の浸水が見込まれた。


玉川・細田川の浸水想定図
玉川・細田川の浸水想定図

 県河川課によると、1級水系の玉川・細田川の浸水範囲は、24時間326ミリの雨で試算。厚木市内で相模川に合流するが、相模川に降る雨の影響は考慮せずに算定した。

 その結果、浸水想定域は厚木市6・3平方キロ、平塚市3・5平方キロ、伊勢原市0・1平方キロの3市で計9・9平方キロに及んだ。

 浸水深(浸水時の水位)が最も高いのは、厚木市酒井のアンダーパス(掘り下げ式交差道路)部の4・4メートル。平塚市では西真土の2・6メートル、伊勢原市は小稲葉の0・6メートルが最高だった。浸水が継続する時間は大半の地域で12時間以内だが、東海道新幹線沿いの一部で24時間以上と想定された。


山王川の浸水想定図
山王川の浸水想定図

 また、2級の山王川の最大級の氾濫では、小田原市内の3・6平方キロが浸水するとの予測になった。

 試算の前提とした雨量は24時間342ミリ。東側を流れる酒匂川の増水の影響は加味していないという。

 県西部のターミナル、小田原駅は浸水範囲に入っていないものの、小田急線足柄駅や伊豆箱根鉄道大雄山線の井細田駅周辺などは浸水エリアに含まれ、酒匂川沿いまで影響が及ぶ。

 小田原市役所の浸水深は1・5メートル。最も高いのは、市役所付近のアンダーパス(扇町)で5・1メートルに達する。氾濫した水は、どの地域でもおおむね半日以内に引くと予想されている。

ホットライン 国土交通省が2017年にまとめた「中小河川におけるホットライン活用ガイドライン」では「市町村長が行う避難勧告等の発令の判断を支援するための情報提供の一環として、河川管理者から、必要に応じ河川の状況、水位変化、今後の見通し等を市町村長等へ直接電話等で伝える仕組み」と定義。都道府県管理の中小河川は水位が急上昇し、短時間で対応を迫られるため、市町村長の気づきを促す上で、ホットラインの拡大と定着が必要としている。市町村から問い合わせができるよう、双方向化が望ましいとも提言している。

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