1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 判決を受けて(5) 死刑 選別のジレンマ

やまゆり園事件考
判決を受けて(5) 死刑 選別のジレンマ

社会 | 神奈川新聞 | 2020年4月2日(木) 12:00

映画監督 森 達也さん


森達也さん
森達也さん

 判決そのものに驚きはない。誰もが99%の死刑判決を予想していたはずだ。ただ今回、気づいたことがある。大きな事件になればなるほど被告の心の中を司法がきちんと解明できなくなっている、ということだ。

 たとえば秋葉原の雑踏にトラックで突っ込んだ秋葉原通り魔事件や、児童8人が惨殺された大阪教育大付属池田小事件、そしてオウム真理教事件における麻原法廷。大事件が起きるたび死刑という大前提が設定され、司法はそれにあらがえない状況が加速している。

 やまゆり園事件をはじめこれらの事件で死刑を阻害するたった一つの要因は、責任能力の有無だ。つまり精神鑑定。刑法第39条がある限り心神喪失、心神耗弱である場合には罰しない、もしくは減軽することになっている。一方で死刑は国民の8割以上が賛成する制度でもある。

 責任能力がないから無罪、もしくは著しく低いから死刑回避という判決を出せば、その裁判官は日本中からたたかれ、出世もできなくなる。そこで被告の精神面には触れないようにする、という傾向が進んでいる。

 今回の判決文でも植松聖死刑囚の考えは「是認できない」としつつもその行動は合理的とした。「合理性がある」と言ってしまうのかと驚いたが、そう言わざるを得なかったのだろう。

この記事は有料会員限定です。

月額980円で有料記事読み放題。詳しくはこちら

相模原障害者施設殺傷に関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング