9日午後9時45分ごろ、東海道新幹線新横浜-小田原間を走行中の東京発新大阪行き「のぞみ265号」で、「包丁を持った男がいてけがをした人がいる」「血を流している人がいる」などと複数の乗客から110番通報があった。県警によると、車内で男に、男女3人が刃物で襲われた。男性1人が搬送先の病院で間もなく死亡が確認された。20代の女性2人も頭や肩などにけがを負った。2人は意識があり、命に別条はないという。
県警は9日夜、殺人未遂の疑いで、自称愛知県岡崎市、無職の男(22)を現行犯逮捕。容疑を殺人に切り替えて調べる方針。調べに対し、「新幹線の中で殺意があって人を刺したことは間違いない」と容疑を認めている。「むしゃくしゃしてやった。誰でもよかった」などとも供述しており、県警は車内の乗客を無差別に襲った可能性があるとみて、詳しい状況を調べている。
逮捕容疑は同日午後9時45分ごろ、のぞみ車内で、男性を刃物で切りつけて殺害しようとした、としている。小田原駅に臨時停車した車内で、駆け付けた小田原署員が取り押さえた。逮捕時に抵抗する様子はなかったという。
県警は、亡くなった男性の身元の確認を進めているが、所持品から大阪市の会社に勤めているとみられる。
県警によると、車内にはなたのような折り畳み式の刃物が落ちていた。ほかにナイフも見つかっており、県警は複数の凶器があった可能性もあるとみている。
事件が起きたのは自由席車両の12号車で、同容疑者は自由席の切符を所持し、調べに対し「東京駅で12号車に乗った」と説明しているという。被害者3人も12号車の乗客とみられ、事件前に目立ったトラブルは確認されていないという。
のぞみ265号は、10日未明、小田原駅から静岡県の三島駅まで移動。三島市内の車両基地で今後、詳しく調べる。JR東海によると、新幹線は16両編成で、小田原駅に臨時停車した際の乗客は約880人だった。