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住宅無償提供継続を 原発事故「自主避難者」ら

社会 | 神奈川新聞 | 2016年10月21日(金) 11:55

全国から集まった自主避難者らが住宅無償提供の継続を訴えた集会=東京・永田町
全国から集まった自主避難者らが住宅無償提供の継続を訴えた集会=東京・永田町

 東京電力福島第1原発事故で、福島県の避難区域外から県内外に避難している「自主避難者」らが20日、参院議員会館で集会を開き、住宅無償提供の継続を訴えた。同県は災害救助法に基づく住宅支援を来年3月末で打ち切ると決めており、政府も事実上この方針を追認している。「加害者の国が打ち切るのはおかしい」「生活基盤を奪わないで」。参加者から怒りの声が相次いだ。

 同県いわき市から幼い娘2人と避難し、都内の公営住宅で暮らす母親(38)は「6カ所を転々として、ようやく住み慣れた場所をなぜ離れなくてはいけないのか。長女は来年、小学生。先が見えず、途方に暮れている」と打ち明けた。

 福島市から京都府に避難している宇野朗子さん(44)は「原発事故で夢や人間関係をもぎ取られた。蓄えを切り崩して自力で生活しているのに、生活基盤が奪われるのがどんなことを意味するか想像してほしい」と語り、「原子力政策という国策による被害者への支援は国の責任だ」と訴えた。

 集会には自主避難者や支援者のほか、国会議員ら約150人が参加。県に来年4月以降も避難用住宅の無償提供を続けさせることなどを安倍晋三首相らに求めるアピール文を採択した。

 また、国に無償提供の継続や賠償打ち切り方針の撤回などを求める署名が、20万筆近く集まったことも報告。26日に都内で開かれる集会で、参加した国会議員に手渡すとしている。

「切り捨て許さない」
愛川町避難 山田さん


 「住宅は生活の基盤。無償提供の打ち切りは避難者を切り捨てるのと同じ。それは許されない」。福島県南相馬市から愛川町に自主避難し、雇用促進住宅に夫と身を寄せる山田俊子さん(75)は淡々と話す。

 田舎暮らしに憧れ、震災の4年前に東京都町田市から移り住んだ。家の近くに田んぼを借り、無農薬の米作りにも挑戦した。「自慢だった自然は原発事故で全てなくなった」。今、自宅周辺には作業員用の2階建てプレハブがずらりと並んでいる。

 「どちらかが倒れたときは、南相馬に帰るしかないかな」。そんな冗談を夫と言い合うこともあるが、できるだけ現在の生活を続けたいと考えている。先月には福島県の職員3人が帰還の意向があるか確認しにやってきた。「最後まで県に打ち切り方針の撤回を求める」。そう言って断った。

 製造業を営む娘の家族は今も福島で暮らす。孫や娘が放射線による健康被害を受けないか、不安は尽きない。生活を一変させた原発事故の責任を追及するため、福島原発かながわ訴訟原告団の副団長を務めている。

 「原発事故がなかったことにされたくない。住宅の打ち切りもその一つ。未来の命を守るためにも、最後まで戦わなければいけない」。自身に言い聞かせるように言った。

 
 

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