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時代の正体〈609〉対米従属脱却の好機 激変の朝鮮半島情勢 ノンフィクション作家・矢部宏治さんが語る

社会 | 神奈川新聞 | 2018年6月7日(木) 11:00

やべ・こうじ 1960年、兵庫県生まれ。慶大文学部卒。博報堂マーケティング部を経て、87年から書籍情報社代表。2010年の鳩山政権の崩壊を機に日本戦後史の共同研究を始める。「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」など著書多数。
やべ・こうじ 1960年、兵庫県生まれ。慶大文学部卒。博報堂マーケティング部を経て、87年から書籍情報社代表。2010年の鳩山政権の崩壊を機に日本戦後史の共同研究を始める。「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」など著書多数。

【時代の正体取材班=松島 佳子】南北首脳会談が実現し、史上初の米朝首脳会談も12日に再設定された。朝鮮半島を巡る情勢が大きく変容しようとする中、ノンフィクション作家の矢部宏治さんは「戦後日本の在り方を大きく変えるチャンス」と語る。米国の公文書を読み解き、密約の中身を明らかにしてきた矢部さんは、こうも指摘する。「戦後に形作られた日本の『ゆがみ』の原因は全て朝鮮戦争にある」

異常


 -南北首脳会談は歴史的でした。

 「3月6日に会談決定の第一報が流れたとき、みんな『寝耳に水』だったと思います。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領があれほどすごい外交力の持ち主とは、誰も知らなかった。もちろん1953年の朝鮮戦争休戦から65年たつので、本当はとっくに終戦していなければおかしいのだが」

 -朝鮮戦争が起きたのは1950年6月。当時、日本は占領下にありました。

 「敗戦後、連合国軍という名の米軍に占領されていた日本は、さまざまな形で朝鮮戦争への協力を求められることになった。朝鮮半島の機雷を除去するための掃海艇派遣や米兵たちが出撃した後、空になった米軍基地に配備するための警察予備隊(後に自衛隊)の創設、米兵や軍事物資の輸送などまさに国を挙げて戦争支援を行ったのです」

 -一方で、この時期に日本は独立に向けて米国と交渉を開始し、52年4月に主権を回復しています。

 「そのとき、サンフランシスコ講和条約と同時に結んだ旧安保条約が事実上、占領状態を継続させることになってしまった。旧安保条約の第1条が全てを表しています。『独立後の日本は、米国が米軍を日本国内およびその周辺に配備する権利を認める』と書かれている」

 -どういう意味か。

 「米軍を配備する権利を認めるというのは『日本中、どこにでも米軍を駐留させ、そこから軍事行動することを認める』ということです。さらに『日本国内およびその周辺』というのは、米軍が日本の国境を越えて自由に軍事行動できる権利を意味しています」

 -日本の国境を越えて、とは。

 「米軍は日本全土に基地を持てるだけでなく、そこから自由に飛び立って日本の国境を越え、他国を軍事攻撃できるということです。そんな権利を与えている国は地球上、他にどこにも存在しない。あのイラク戦争でボロ負けしたイラクでさえ、米・イラク地位協定で厳重に禁止している。占領期の米軍の権利を密約によってそのまま現在も認めている日本は、本当に異常な国なのです」

密約


 -なぜ日本は、そんなにひどい条約を結んだのでしょう。

 「ひと言で言うと、これは68年前の朝鮮戦争の中で生まれた『朝鮮戦争レジーム』なのです」

 -日本の独立を挟んだ50~53年、米国は朝鮮戦争を繰り広げていた。そのことが関係するのか。


「戦後に形作られた日本の『ゆがみ』の原因は全て朝鮮戦争にある」と語るノンフィクション作家の矢部宏治さん
「戦後に形作られた日本の『ゆがみ』の原因は全て朝鮮戦争にある」と語るノンフィクション作家の矢部宏治さん

 「日本から出撃していった米軍は当初、朝鮮半島で徹底的に負ける。そんな状況下で日本を独立させることなど絶対できないと、軍部は猛反対した。ところが、独立に向けた日米交渉の中で、日本は『米軍への軍事支援を独立後も継続する』という約束と引き換えに独立を果たす。そのとき結ばれたのが『吉田・アチソン交換公文』という、ほとんど誰も知らない日米間の取り決めです」

 -独立後も、この体制を変えられなかったのはなぜなのか。

 「一番大きいのは、岸信介政権下で行われた安保改定です」

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