新型コロナウイルスの感染拡大抑止に向け、黒岩祐治知事は26日、今週末の外出を自粛するよう県民に求める緊急メッセージを発信した。患者が急増した東京都の対策に歩調を合わせた形で、「県内は感染拡大を抑制できているが、突然オーバーシュート(爆発的患者急増)が起きる可能性は否定できない」と指摘。当面は仕事もできるだけ自宅で行うことも求めた。近隣県のトップも相次いで重大局面との認識を示し、首都圏全域で警戒が高まった。
黒岩知事の「緊急メッセージ」と主な「一問一答」
外出自粛・買いだめ「会見内容が不安増幅」 有識者が苦言
県民の外出自粛を求めたのは、神奈川と埼玉県。都内への移動を控えるよう要請した千葉、山梨県などに比べ踏み込んだ対応だが、知事は「神奈川から東京には1日約100万人が移動しており、東京と神奈川は一体だ」と説明。都市機能停止や医療崩壊を避けるには「今の時期が非常に重要」と、理解を求めた。
県の集計によると、県内の感染者は26日までに90人を超えたが、1日当たりの確認数は最大6人で推移。一方、都内では25日に41人、26日はこれを上回る感染が判明しており、感染者数は200人を超え全国最多となった。小池百合子都知事は25日に「感染爆発の重大局面」と訴え、今週末と夜間は不要不急の外出を控えるよう呼び掛けていた。
県庁で臨時会見を開いた黒岩知事は、都の取り組みと連携して感染拡大を防ぐとし、「不要不急の外出は控え、仕事もできるだけ自宅でできるよう工夫をしてほしい。特に今週末は外出の自粛をお願いする」と強調。自粛要請期間は見通せないとし、不要不急の定義については「食料品の買い物などは仕方ないが、娯楽や外食などは控えてほしい」と述べた。
知事の緊急メッセージに連動し、県内の市長らも相次いで今週末の外出自粛を要請。横浜市の林文子市長は黒岩知事と電話で協議したとし、「県内の市町村が一体となって取り組んでいこうと確認した」と説明。川崎市の福田紀彦市長は「首都圏全体で対策を徹底していく必要がある」。相模原市の本村賢太郎市長も自粛を促した上で「買い占めなどが起きないよう冷静に日常の生活を続けてほしい」と呼び掛けた。
一方、横須賀市の上地克明市長は、4月中旬まで不要不急の外出は控えるよう要請するメッセージを発表。都内通勤者の在宅勤務を求め、「横須賀を都市封鎖にしないため、踏ん張りどころ」と協力を求めた。
東京、埼玉、千葉、神奈川、山梨の5都県の知事は26日夜にテレビ会議を開き、▽人混みへの不要不急の外出やイベントの自粛▽在宅勤務、時差出勤の実施─などの共同メッセージを採択した。都内で会議に参加した黒岩知事は終了後、記者団に「首都圏の知事が一枚岩になれた。率直な議論を通じ共通認識を得られた」と語った。