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〈時代の正体〉やまゆり園入所者が地域生活 事件後の意向確認で初

社会 | 神奈川新聞 | 2018年6月1日(金) 02:00

横浜市内のグループホームで暮らすため、津久井やまゆり園芹が谷園舎を出る平野和己さん(左から2人目)=5月31日午前10時すぎ、横浜市港南区
横浜市内のグループホームで暮らすため、津久井やまゆり園芹が谷園舎を出る平野和己さん(左から2人目)=5月31日午前10時すぎ、横浜市港南区

【時代の正体取材班=成田 洋樹】2016年7月に19人が刺殺される事件があった県立障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の入所者1人が31日、家庭での暮らしに近いグループホーム(GH)での生活を始めた。県によると、施設を出て少人数のGHなどで暮らす「地域生活移行」は、県が事件後に入所者の意向を確認する機会を設けてから初めて。

 同日、横浜市港南区にある同園の仮移転先「芹が谷園舎」から横浜市内のGHに移り住んだのは、平野和己(かずき)さん(28)。重度の知的障害があり、支援の必要度を示す「支援区分」は最重度の6。10歳から14年間にわたって県内の障害児施設で暮らし、14年6月から同園に入所していた。


横浜市内のグループホームで暮らすため、津久井やまゆり園芹が谷園舎を後にする平野和己さん=31日午前10時すぎ、横浜市港南区
横浜市内のグループホームで暮らすため、津久井やまゆり園芹が谷園舎を後にする平野和己さん=31日午前10時すぎ、横浜市港南区

 GHを運営するのは、社会福祉法人「同愛会」(同市保土ケ谷区)。同市内のGHでのやまゆり園入所者受け入れに名乗りを上げていた障害者施設団体「横浜知的障害関連施設協議会」に所属している。運営する入所施設を最期まで暮らす「ついのすみか」とはしない方針で、重度障害者の地域移行に力を入れている。


津久井やまゆり園芹が谷園舎を後にする平野和己さんを見送る父の泰史さんと入倉かおる園長=31日午前10時すぎ、横浜市港南区
津久井やまゆり園芹が谷園舎を後にする平野和己さんを見送る父の泰史さんと入倉かおる園長=31日午前10時すぎ、横浜市港南区

 平野さんは昨年11月から12月にかけて、同愛会の入所施設で宿泊しながら通所施設で軽作業を行う生活を計10日間体験。ことし2月と3月にはGH生活を計8日間送るなど、地域での生活体験を重ねてきた。今後、日中は同愛会が運営する通所施設で軽作業を行う。


グループホームの自分の部屋に所持品を運ぶ平野和己さん(左)=31日午前11時ごろ、横浜市内
グループホームの自分の部屋に所持品を運ぶ平野和己さん(左)=31日午前11時ごろ、横浜市内

 この日、父の泰史さん(67)=相模原市中央区=は「入所施設では自由な暮らしを送ることは難しく、施設を出て息子も心なしかうれしそうに見える。手探りのGH生活では楽しいこともつらいこともあるかもしれないが、見守りたい」と目を細めた。地域生活を支援する同愛会関係者は「どんなに重度の障害があっても地域で暮らせるということを示していきたい」と話した。一方、やまゆり園の入倉かおる園長は「利用者の気持ちを丁寧にくみ取りながら意思決定支援を引き続き行っていきたい」としている。


新生活に必要な布団を量販店で買い求め、車に運ぶ平野和己さん=31日午後0時20分ごろ、横浜市内
新生活に必要な布団を量販店で買い求め、車に運ぶ平野和己さん=31日午後0時20分ごろ、横浜市内

 やまゆり園入所者が望む暮らしの場についての意向確認を巡っては、当事者と家族、園職員、相談支援専門員らが話し合う「意思決定支援検討会議」が昨年12月から県主導で個別に開かれている。県によると、事件当時の入所者126人のうち13人については立ち上げ済みで、意向確認を続けている。残りの113人については19年度までに順次開催する予定。

「これ、僕のうちだよ」 地域生活へ第一歩


 津久井やまゆり園に入所していた平野和己(かずき)さん(28)が31日、グループホーム(GH)での生活を始めた。タンスと布団を量販店で買い求め、6月1日から日中通う施設に立ち寄り「よろしくお願いします」と仲間たちにあいさつ。地域生活への第一歩を刻んだ。

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