特殊詐欺事件の「受け子」や「出し子」などとして逮捕される未成年者が増加傾向にある。県警が昨年に逮捕した少年や少女は48人(暫定値)に上り、2016年と比べて倍増した。会員制交流サイト(SNS)上などでの甘い誘い文句に釣られ、「バイト感覚」で犯罪に加担しているケースもあり、県警は「巨悪犯罪に手を染めることになる。安易に詐欺グループに近づかないで」と注意を呼び掛ける。
「高額バイト」「荷物を運ぶだけの簡単な仕事」
県警によると、未成年者の多くが最初はSNS上の書き込みや知人を通じて誘われ、軽い気持ちで詐欺グループと接触している。応じると、携帯電話を使ってやり取りが始まり、「ターゲット」の情報などを送信され、現場に向かう。
少年らが指示されるのは、被害者宅などで現金などを受け取る「受け子」や、ATMから現金を引き出す「出し子」。銀行員や警察官などを装ってスーツ姿で訪問しても、未成年であれば幼さや振る舞いに違和感を抱く被害者がいる上、顔をさらす場面が多く、逮捕されて初めて「リスクが高い」と気付く少年もいるという。
「受け子が捕まれば、詐欺グループは次を探すだけ。最後は使い捨てにされる」と捜査幹部がみているように、受け子の立場は弱い。昨今の摘発事例では、報酬の相場はだまし取った金額の1割以下で、報酬を渡されないケースもあるという。