他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 多世代が住む団地に 少子高齢化の横浜・若葉台、再生へ

多世代が住む団地に 少子高齢化の横浜・若葉台、再生へ

社会 | 神奈川新聞 | 2018年5月28日(月) 02:00

最寄り駅までのバス利用が課題の一つとなっている若葉台団地。「選ばれるまち」を掲げ、再生に取り組み始めた =横浜市旭区
最寄り駅までのバス利用が課題の一つとなっている若葉台団地。「選ばれるまち」を掲げ、再生に取り組み始めた =横浜市旭区

 来年で入居から40年となる横浜市旭区の若葉台団地で、「団地再生」の取り組みが本格化する。県内有数の規模(約6300戸)で1万4千人余りが居住するが、少子高齢化が急速に進行し、30年後は人口が3分の1に減少するという深刻な推計への危機感が背景にある。若葉台を団地再生のモデルに位置付ける市と、開発主体の県住宅供給公社などが住民らと連携。土地利用の見直しも視野に入れながら、「多世代が住む持続可能なまち」を目指す。

 市と同公社、住宅の管理などを担う若葉台まちづくりセンターの3者が4月下旬、事業連携協定を締結。現状の課題を踏まえ、目指すべき将来像を掲げた「横浜若葉台みらいづくりプラン」(昨年3月策定)の具体化に向け、検討や実践を加速させることにした。自治会などが参加する推進会議も今月開かれ、当面の方向性などを確認した。

 プランでは「中心街をエンジンとしてまちの活性化と再編を推進する」「多様な主体により『地域包括子育て』を実現する」など六つの基本方針を設定。3者連携では、このうち(1)子どもを地域で見守る環境づくりを掲げる「こども憲章」の検討と高齢者支援団体の連携(2)若葉台の魅力や最新情報の発信(3)地域経済の活性化-の3点に着手する方針を定めた。

 「若葉台の取り組みは日本全体の参考になり得る。象徴的なモデルを開花させたい」と下田康晴旭区長。同公社の猪股篤雄理事長は「若葉台は安心して子育てできる団地で、これからの時代にも十分対応できる。他団体と連携し、暮らし方のリノベーションにもつなげたい」と今後の展開に期待を寄せる。

 若葉台団地は緑豊かな丘陵地に開発され、1979年に入居が始まった。約90ヘクタールの広大な敷地に保育園や幼稚園、小中学校、スーパーや商店街、公園や医療・福祉施設などが集積し、一つのまちを形成。自治会などの住民活動も活発だが、最寄り駅まで遠くバス利用が欠かせない。高齢者数は2006年からの10年間で倍増し、居住者の半数近くを占めている。

学校統廃合や商店街衰退に直面


 1950~70年代の高度成長期を中心に、人口急増の受け皿となった首都圏郊外の大規模団地。横浜市内では南西部に多く、少子高齢化に伴う学校の統廃合や商店街の衰退といった「縮小局面」の課題が顕在化している。

 大規模団地で少子高齢化が顕著なのは、同じ世代や家族構成の世帯が一斉に入居したためだ。就職や結婚をきっかけとした子の独立で、高齢の2人世帯や単身世帯が増加。並行して、工場の移転や社宅の閉鎖などで生まれた駅至近の用地にマンションが次々と開発され、若者の「都心回帰」に拍車を掛けている。

 同市内で築35年以上の大規模団地は約50カ所。空き室の増加や設備の老朽化などの問題を抱える団地もある。旭区では若葉台のほかに、左近山やひかりが丘などが将来的な団地生活の維持という課題に直面している。

 若葉台では既に小中学校が統廃合されたが、30年後には子どもの数が現在の5分の1に減る見通しだ。住戸の大半を占める分譲住宅では今後、3千戸もの相続が発生すると見込まれている。若い世代を中心とした新たな居住者を呼び込むため施設のリニューアルや新たな事業展開が不可欠となっている。

 その一方で、良好な住環境を確保する目的で開発時に採用された都市計画の手法により、建物の用途や規模に制限がある。土地利用の変更には住民の合意や手続きが必要で、時間がかかることがネックという。

 横浜若葉台みらいづくりプラン推進会議の会長に就いた山岸弘樹・若葉台連合自治会長(71)は「若葉台の良い点を伸ばし、悪いところは直したい。元気なシニアが多い今のうちに次世代に引き継ぐためのレールを敷きたい」と強調する。

 
 

団地再生に関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング