
着物をリメークした和小物の製造を手掛ける鎌倉市のデザイナー梅沢杏奈さん(35)が、新型コロナウイルスの影響で卒業式が中止になった学生向けに、袴(はかま)や着物の着付けと髪飾りのレンタルサービスを始めた。スナップ写真の撮影や鎌倉散策もでき、学生から「楽しい思い出になった」と喜ばれている。
梅沢さんは、明治から昭和初期の着物生地を髪飾りなどに加工して販売する会社「マリエフルリール」代表。商品は1カ月ほどをかけて手作りしており、本来は受け付けていないキャンセルにも今回は対応した結果、売り上げは例年の半分ほどに落ち込んだ。
そんな中で耳にしたのが、予約商品を受け取りに来た学生たちの悲痛な声だった。「袴を着たかった。友達にも会えない」-。そこで、店にあった袴と着物を着付けてあげ、鎌倉散策を楽しんでもらうと、とても喜ばれたという。
ある学生は「3日前に式が突然なくなってショックだったが、着物姿で鎌倉を歩けて、とても楽しく明るい気持ちになれた」と話していたという。
「卒業式はできなくなっても、鎌倉で楽しい思い出を新しくつくれる。そのお手伝いができたらうれしい」と梅沢さん。袴と着物、髪飾りのレンタルサービスを始めた。料金の5千円はクリーニング代に充てる。
矢羽根模様や幾何学柄、個性的な花柄などの着物15種類ほどからお気に入りを選べる。写真撮影も外出も自由だ。ウイルス感染拡大の終息が見通せないため、年末まで実施する。
問い合わせは、同店電話0467(37)8676。