津久井やまゆり園事件の裁判員裁判は、植松聖被告(30)に死刑判決が言い渡されて終結した。重度障害者の殺害は「世界平和のため」と主張した被告の独善に対し、横浜地裁は明確な否定まで踏み込まず、殺害に至る背景も十分に解明できなかった。被害者側に失望が広がった。
「最終経歴『死刑囚』、やばい」 死刑判決後の被告と接見
青沼潔裁判長は16日の判決公判で、言い渡しに要した約40分のうち大半を、被告の完全責任能力を認定した理由の説明に割いた。
「重度障害者がいなくなれば世界が平和になる」という被告の考えに対しては、「到底是認できない」「被告人なりに社会に有意義な行為であると思う一方、社会に容易に受け入れられるものではない」との言及にとどまった。
末娘の美帆さん=当時(19)=を殺害された母親は求刑通りの判決に「終わってほっとした」と安堵(あんど)する半面、「裁判はこんなものなのでしょうか。責任能力による量刑の論点だけでなく、もっとみっちりとやっていくものだと思っていた」と代理人の滝本太郎弁護士に打ち明けた。