2016年に泉署の男性巡査=当時(25)=が署内で拳銃自殺したのは、職場の人間関係に悩んでいた巡査の精神状態を考慮せず、署側が拳銃を所持する業務に漫然と就かせたためとして、巡査の両親が県に約5500万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、横浜地裁(大竹優子裁判長)であった。県側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
この日の口頭弁論では、巡査の母親(57)が意見陳述を行った。「とても健全とはいえない職場環境の在り方を改善し、拳銃の取り扱いについてもきちんと管理・監督してほしい」などと語った。
訴えによると、巡査は15年10月以降、上司らから暴言や暴行などのパワーハラスメントを継続的に受け、16年3月にはうつ病を発症した。同7~11日には勤務を休み、出勤を再開した12日朝に支給された拳銃で自殺した。
遺族側は、パワハラの有無にかかわらず、出勤再開後の署側の対応を問題視。巡査の当時の精神状態を踏まえれば、拳銃を所持しない勤務に就かせる安全配慮義務が署側にあったと主張している。