社会保険労務士らの事務組合「神奈川SR経営労務センター」(横浜市中区)の職員だった女性(44)と男性(41)が、復職を断られて不当に退職させられたとして、同センターに地位確認と未払い賃金の支給を求めた訴訟の判決が10日、横浜地裁であった。新谷晋司裁判長は2人の退職を無効とし、各約700万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は職場でのパワーハラスメント被害を巡る訴訟を起こしたが、係争中に体調不良に陥り2014年9月から休職。その後に主治医から復職可能との診断を受けたが復職は認められず、15年6月に休職期間満了で自動退職扱いとなった。
訴訟などで女性を擁護した男性も、精神疾患を発症し14年9月から休職。その後3回にわたり復職を申請したが認められず、15年9月に休職期間満了で自動退職扱いになった。
新谷裁判長は判決理由で、復職不可とした産業医の判断について「到底信用できない」と指摘。2人の主治医の診断などから「原告らは退職扱いの時点までに回復していた」とし、退職を無効と結論付けた。
パワハラ被害を訴えた報復で退職させられたと主張してきた女性は判決後、「センターは労務管理のプロとして、あるべき倫理観とかけ離れている。誇りある姿を取り戻してほしい」と語った。同センターの川瀬明常務理事は「判決文を見ていないのでコメントできない」とした。
パワハラを巡る訴訟は、東京高裁が15年8月、同センターに330万円の損害賠償の支払いを命じる判決を言い渡し、確定している。