
「だるまちゃん」シリーズや科学絵本などで知られ、戦後の児童文学に大きな功績を残した絵本作家で児童文化研究家のかこさとし(加古里子、本名中島哲=なかじま・さとし)さんが2日、慢性腎不全のため藤沢市の自宅で死去していたことが7日、分かった。92歳。福井県出身。葬儀・告別式は親族のみで行った。後日しのぶ会を開く予定。
1948年東大工学部卒。昭和電工の研究所に勤める傍ら、川崎市の貧しい地域で社会事業(セツルメント)に加わり、子どもたちに手作りの紙芝居を演じた。それが「どろぼうがっこう」などの優れた絵本となり、絵本作家への道を歩んだ。
おおらかでユーモラスな作風で幅広い層に愛され、「だるまちゃんとてんぐちゃん」に始まる「だるまちゃん」シリーズは累計約390万部、「からすのパンやさん」は240万部以上を発行している。自然科学の専門知識を基に、楽しみながら科学に親しめる子ども向け科学絵本も先駆的に手掛け、「かわ」「宇宙」など数多く刊行した。
73年に退社。児童文化の研究を一層深め、消えゆく子どもの遊びや民話などを各地で調査、採集して「伝承遊び考」などの書籍にまとめた。2008年には菊池寛賞、09年に神奈川文化賞、川崎市文化賞を受賞。他の代表作に「だむのおじさんたち」「はははのはなし」など。
藤沢市では昨年11月に代表作品を原画などで紹介する企画展が開かれたばかりだった。関係者によると、亡くなる前日までファンレターの読み上げを聞くなどし、仕事に関することを口にしていたという。
親族、関係者ら悼む声
子どもたちを羅針盤に歩み続けた絵本作家・かこさとしさんが天国に旅立った。長女の鈴木万里さん=藤沢市=は、