他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 不安と疲弊募る保育所 マスク、消毒液不足、感染リスクも

新型コロナ
不安と疲弊募る保育所 マスク、消毒液不足、感染リスクも

社会 | 神奈川新聞 | 2020年3月7日(土) 14:00

感染防止に神経をとがらせながら、子どもたちの受け入れを続ける「小雀みどり保育園」=横浜市戸塚区
感染防止に神経をとがらせながら、子どもたちの受け入れを続ける「小雀みどり保育園」=横浜市戸塚区

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、全国の小中高校で休校措置が取られる中、保育所は就学前の子どもたちを受け入れ続けている。仕事を休めない父母は多く、家庭で未就学児だけで過ごすことはできないため、政府が保育所に関して原則、開園の方針を示しているからだ。「感染リスクと隣り合わせの状態。予防に必要な物資も底を突きつつある」「保育士だって、幼い子の世話や介護を抱えている」―。終息が見通せない中、現場からは悲痛な声が上がる。

 「保護者が安心して働けるよう、精いっぱい園として支えたいのだが…」。横浜市戸塚区の保育所「小雀みどり保育園」の本間正理事長(68)の表情はさえない。新型コロナウイルスへの不安が広がる中、月曜から土曜まで開園し、毎日50人以上の乳幼児に職員約30人で対応している。「感染者を出さないことが第一で、緊張の日々だ」と本間理事長。ただ、職員や子どもたちの安全確保に欠かせないマスクや消毒液の備蓄は残り少ないという。

 電車やバスで通勤する職員にはマスクを配布したいが、園で6日現在確保しているのは55枚程度。入手困難な状態が続き、給食調理者らに優先順位を付けて配布している状況だ。

 乳幼児はマスクを嫌がって外してしまうことが多いため、感染予防には手洗いや、園内の消毒が重要だ。だが、消毒液も半月分ほどしか手元にないという。

 国や自治体からこうした物資の支援に関する情報はない。横浜市には保育所関係者からマスクや消毒液の供給を求める声が寄せられているという。市の担当者は「配布できないか知恵を絞っているが、マスクは品薄で見通しは立っていない」と明かす。同園の川辺初美園長(61)は「現場の窮状を把握せずに開園を強いても、私たちの疲弊と混乱は増すばかり」と話す。

 小中高校の休校に対し、なぜ保育所や学童保育は開いていいのか、という根本的な疑念も募る。川辺園長は「集団生活をする以上、感染のリスクは同じはず」と指摘。行政機関に「安全確保策を園任せにせず、感染した場合の責任の所在や、職員の休業補償などで保育の担い手に寄り添った政策を」と求める。

 事態の長期化も懸念され、高校生と小学生の子ども3人を家庭に残して出勤している同園の保育士三浦加奈子さん(45)は不安を隠さない。「留守番をしている小学4年と2年の息子は特に心配。保育士も子育てや介護をしながら働いている。保育士の待遇改善も道半ばの中、政府に都合よく酷使されているようで耐えられない」と話す。

 それでも、園内に響く子どもたちの元気な歓声が、苦境にあっても、モチベーションを与えてくれる。本間理事長は「こういう非常時だからこそ、役割の重要性をかみしめている。子どもにとって安全な環境を確保するため、関係機関には私たちの声に耳を傾けてほしい」と願う。

新型コロナに関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング