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岩国移駐の米空母艦載機 九州沖で着艦資格訓練

社会 | 神奈川新聞 | 2018年4月19日(木) 11:34

FCLPで離着陸を繰り返すジェット機 =2017年9月5日、厚木基地
FCLPで離着陸を繰り返すジェット機 =2017年9月5日、厚木基地

 防衛省南関東防衛局は18日、米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)から岩国基地(山口県岩国市)へ移駐した米空母艦載機の部隊がパイロットの空母着艦資格を取得する訓練(CQ)を実施する海域について、房総沖から九州沖の太平洋上に移すと明らかにした。県と大和、綾瀬市にそれぞれ伝えた。

 これにより、訓練拠点も厚木基地から岩国基地に移されることになる。ただ、厚木基地については、硫黄島で暫定的に行われている、滑走路を空母の甲板に見立てた陸上空母離着陸訓練(FCLP)の代替施設として引き続き位置づけられる。

 CQは洋上の空母への離着陸を繰り返す訓練で、FCLPの実施後、10日以内に始める必要がある。艦載機部隊が所属する第5空母航空団所属のパイロット約100人がCQを行うのに、4日間程度を要するという。

 春の時期は米空母の洋上展開を前に例年5月ごろにFCLPが実施され、CQが行われる空母出港直後には拠点の厚木基地周辺で午後10時以降の航空機の飛行が確認されていた。

 同防衛局によると、CQを終えた艦載機は空母に格納されるものを除き、岩国基地に戻る予定。戻る時間は午後11時ごろまでの計画だが、同時間帯を過ぎる場合もあり得る、としている。

 空母艦載機を巡っては昨年から段階的に厚木基地から岩国基地に約60機が移駐し、今年3月末に完了した。


「被害のたらい回し」 厚木基地の騒音「軽減」国など

 厚木基地周辺に騒音被害をもたらしてきた米空母艦載機による「着艦資格取得訓練(CQ)」が岩国基地を拠点として実施されることになった。国と地元自治体は「(厚木基地の騒音の)相当程度が軽減される」との見方を示す一方、不安材料も残る。岩国基地で騒音の激化が予想され、厚木基地周辺で活動している市民団体は「被害のたらい回しになる」と懸念する。

 「CQが房総沖で実施されなくなれば、その分厚木基地の騒音が軽減されることになると思っている。移駐による騒音軽減が進みつつあると前向きに受け止めている」。黒岩祐治知事は18日の会見でこう述べ、騒音被害の軽減に期待した。

 ただ、米海軍はこれまでCQの日程を明らかにしてこなかった。昨年は5月16日の米空母出港後に行われたとみられ、5月20日に厚木基地の滑走路北約1キロ地点で午後10時台に計9回、100デシベル以上の騒音が計測されている。

 この時期の騒音の原因がCQなのかがはっきりしないため、地元自治体は慎重な姿勢を崩さない。「不明な点があり、今後詳細を確認していく」(大和市基地対策課)、「判断のしようがない」(綾瀬市基地対策課)との認識を示す。まずは米軍がどのように運用するのかを見極めるスタンスだ。

 「騒音がたらい回しにされただけ」と話すのは第4次厚木基地爆音訴訟で原告団長を務めた金子豊貴男相模原市議。根本的な解決につながっていないと強調する。「(移駐後の厚木基地周辺で)回転翼機の訓練が激しくなっている」と指摘した。

 基地撤去をめざす県央共闘会議の矢野亮事務局次長は、陸上空母離着陸訓練(FCLP)が昨年は厚木基地で行われたことを踏まえ、「厚木基地は訓練の代替地候補。安心はできない」といぶかった。


房総沖の空母への着艦資格取得訓練場所、岩国基地、厚木基地
房総沖の空母への着艦資格取得訓練場所、岩国基地、厚木基地
 
 

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