南海トラフ地震に結び付く異常の有無を見極める気象庁の評価検討会の委員が4月で一部交代し、新体制による初会合が6日にあった。最近の地震活動などを評価し、「大規模地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」との定例情報を発表した。
原則月1回開かれる評価検討会の委員は6人。東大地震研究所を3月末で退職した加藤照之氏が退任し、4月1日付で山岡耕春名古屋大教授が就任した。加藤氏は4月から、神奈川県温泉地学研究所の所長に就いている。
評価検討会会長の平田直・東大地震研教授は会合後の会見で「次の地震に向かって近づいている状態には変わりがない。引き続き、被害が少なくなるよう準備を進めてほしい」と呼び掛けた。
評価検討会は、同トラフの一部である静岡・駿河湾で想定されてきた東海地震の予知が不可能と判断されたことを受け、2017年11月に設置された。監視の対象を四国沖などを含むトラフ全体に広げ、一定規模以上の地震や異常な地殻変動などが起きると、気象庁が臨時情報を発表する。
情報発表時に自治体や住民、企業などが取るべき行動については、静岡、高知両県と中部圏をモデル地区として検討が進められている。