介護大手のツクイ(横浜市港南区)は4月から、自分らしく人生の最期を迎えられるよう支援するエンディングサポートサービスを開始した。同社のサービス利用者を対象に、来し方を振り返りながら「旅立ちの準備」プランを記すオリジナルエンディングノートの提供のほか、納棺までの時間を家族で見送るためのエンディング入浴(湯灌(ゆかん))など、四つのサービスを提供。同社は「ご本人や介護される家族とともに、その人にふさわしいお別れの形を創造したい」と話している。
エンディングノート「Future Diary」は、同社運営の横浜市内のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で配布を開始。思い出などの「自分史」のほか、最期をどう迎えたいかを記すことができる。また、エンディング入浴は同市保土ケ谷区の施設で開始。いずれも今後、順次全国に拡大する予定だという。
このほか、関東の有料老人ホームでは、最晩年を生きた仲間とともに思い出の施設で見送るお別れ会・葬儀を、提携した葬祭会社とともにプロデュース。専門家による終活セミナーや終活相談会の開催も行っていくといい、地域や葬儀内容に応じた葬儀社も紹介する。
同社では、介護事業という性質上、サービス利用者の人生の最期に関わる機会が多い。利用者は、基本的に在宅でのみとりを希望しており、サ高住でみとる例もある。いずれも家族が見送る例が多いが、本人の希望が分からず戸惑うこともあるという。
「どういう終わり方を望んでいるのかをスタッフや家族が共有することで、本人に寄り添った見送りへの心積もりができる」と同社。これまで介護事業者として死をタブー視する側面もあったが、残された人生をより豊かにするためにも、「大切なものを未来へ」をコンセプトにエンディングサービスの開始を決めたという。
同社は「家族も、終わりに向けた本人の意向は聞きにくい。サービスをきっかけにその人らしい未来をつくることができれば」と話している。