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時代の正体 沖縄考
山城さんに聞く【5】 銀座デモで保革結集

社会 | 神奈川新聞 | 2020年2月21日(金) 10:00

慰霊の日、沖縄は鎮魂の祈りに包まれ、遺族が故人をしのぶ=沖縄県糸満市
慰霊の日、沖縄は鎮魂の祈りに包まれ、遺族が故人をしのぶ=沖縄県糸満市

 失って初めて、その尊さに気付く。日々の営みに溶け込んだ存在であるほど、喪失感に沈む。

 2019年10月31日未明、首里城(那覇市)が火災に見舞われ、主要な建築物が焼失した。見慣れた風景からアイデンティティーの象徴が消える。その心の内を吐露する沖縄の知人の言葉に一瞬、私はたじろいだ。

 〈不幸なことですが、基地問題で二分されがちな世論の心が一つになっていることも感じます〉

 「琉球」を拠(よ)り所(どころ)に前を向く人々の気概に感じ入る一方、この国が沖縄に強いてきた分断の根深さを改めて突きつけられた。

 保守と革新の対立激しい沖縄。一方、譲れぬ一線を越えた不条理には超党派で抗(あらが)う。「オール沖縄」を旗印に、数年前にも保革を越えて結集した。分水嶺(ぶんすいれい)は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)へのオスプレイ配備だった。

 12年9月、事故が多発する「欠陥機」の強行配備に沖縄の怒りは沸点に達し、普天間は“孤島”となった。配備阻止を掲げ、岩国基地(山口県岩国市)からの飛来を食い止めようと、台風の強風が吹き荒れる中、人々が三つのゲート全てを封じ、一切の出入りを遮断した。この普天間封鎖を現場で仕切ったのが沖縄の平和運動のリーダー、山城博治さん(67)だった。

 この時、沖縄保守政界の重鎮にして当時那覇市長だった故・翁長雄志前知事も配備反対に立った。10万人規模の県民大会で共同代表を務め、「沖縄は戦前、戦中、戦後と十分すぎるほど国に尽くしてきた。もう勘弁してほしい」と声を上げた。

 翁長さんの決定的な転機は翌13年1月27日、県内全41市町村の首長や議会議長らと行った東京・銀座のデモ行進だった。配備撤回を求める「沖縄の総意」を示すため、日比谷で集会を開いた直後であり、翌日には安倍晋三首相らへの直訴を控えていた。

 
 

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