県教育委員会は12日、10月定例会を開き、県立高校145校(県立中等教育学校後期2校含む)で来年度使用する教科書を採択した。2013年に県教委の方針と相いれない記述があるとして希望校に「再考」を求め、その後2年間にわたって希望校がなかった実教出版「高校日本史A」の新訂版が16校で採択された。
実教「高校日本史A」は、旧版の脚注で国旗掲揚、国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述していたが、新訂版ではこの部分を削除している。これを踏まえ、「県教育委員会として、実教出版の高校日本史A新訂版が『再考』の対象ではないという見解を明確に示してほしい」などとする請願3件、教科書採択に関して特定の教科書を事実上排除するようなやり方の見直しを求める請願1件が出されていたが、いずれも不採択となった。
請願を出した市民らのグループ「学校に『思想・良心の自由』を実現する会」と「公正な教科書採択を求める県民の会」は会議後、桐谷次郎教育長に「実教出版『高校日本史』教科書排除の事実を改ざんする県教委の『採択決定』に抗議する」と題した抗議文を手渡した。
市民グループでは、実教の「高校日本史A」が16校で採択されたことについて「現場が粘り強く生徒に読ませたい教科書を出し続けた力を評価したい。県教委も採択せざるを得なかった」と話した。また、「改善であるが当然のこと」という声も出ていた。