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「やっと手当てしてもらえた」 医師ら乗船、乗員を診察

社会 | 神奈川新聞 | 2020年2月14日(金) 23:51

クルーズ船から下船者を搬送する救急車=14日午前9時20分ごろ、横浜市鶴見区の大黒ふ頭
クルーズ船から下船者を搬送する救急車=14日午前9時20分ごろ、横浜市鶴見区の大黒ふ頭

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の集団感染が発生し、横浜港・大黒ふ頭(横浜市鶴見区)で停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に14日、県医師会と横浜市医師会で結成した日本医師会災害医療チーム「JMAT」が派遣された。震災以外では異例の派遣。船内で乗員の診察に当たった水野クリニック(同市都筑区)院長で市医師会の水野恭一会長(69)が神奈川新聞社の取材に応じ、「船内の状況は刻一刻と変わっている」と緊迫した状況を明かし、今後も予断を許さないとの見通しを示した。

 水野会長らJMATのメンバーは同日午後1時ごろに船内に乗り込み、防護マスクや防護服など完全防備を整えた。現場で指示を受けて同2時半ごろに活動を開始。日本医師会によると、乗船したのは、JMATの研修などを経験した地域医療に関わる医師8人と、総合病院などで経験を積んだ看護師10人の計18人。他に数人の事務職員が船外から活動支援に当たった。

 JMATは、東日本大震災などでの派遣実績はあるが、「震災以外での派遣は異例」と水野会長。ただ、現場では混乱がみられたという。JMATは当初、(1)80歳以上の乗客の問診、診察(2)慢性疾患やその治療(3)PCR検査の検体採取に当たる予定だったが、受けた指示は検査で陰性だった乗員の診察だけ。水野会長は現場の混乱を感じ取った。

 数時間をかけて1グループ15人程度で、計7グループ約100人の乗員を健診。これまでは乗客が優先されていたといい、乗員の責任者が「やっと手当てをしてもらえた」とうれし涙を流しながら、安堵(あんど)の表情を浮かべたという。

 一方、派遣には紆余曲折(うよきょくせつ)があった。一時は「一般の医師」とし ての派遣も検討されたが、活動中に医師が被害に 遭った場合は日本医師会が補償に当たるJMATと異なり、「何かあったときに自己責任になる」と再度検討され、JMATとしての派遣が決まった。

 福島や群馬など全国各地から医療関係者が集った光景に「みんな真剣。総力が集まっている」と水野会長。「長期滞在で体調を崩す人も多いと聞く。今後は(患者の)搬送の人手も必要になる。見通しが立たない状況は続きそうだ」。関係者によると、JMATの派遣は16日までが決定しており、17~19日も派遣する医療関係者を募っているという。

 
 

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